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現ライター、豊島ミホのブログです。雑記帖ゆえ雑文が書かれていきます。カテゴリの「はじめに」も是非お読み下さいませ。


by 豊島ミホ
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こんにちは豊島ミホです。
ゴールデンウィーク中に……
バチェラー・ジャパンをエピソード12まで観終わりました!
だれかと感想を語り合いたい!
ぜっさんネタバレで語り合いたい!
のでここに書きますyoーーーー!!!

あらすじとかは書きません。
親切なあらすじサイトは他にいっぱいありますので
「バチェラージャパン あらすじ」で検索してください。
っていうか、先にあらすじなんて知っちゃうと楽しさ半減するから
この先は本当に、最後まで観た人もしくは
まったく見る気ない人しか読まないで! ほんと!





<待避用行間>







クリックすると続きが出ます
by refri5erat0r | 2017-05-08 18:22 | 雑記


ひっさびさに更新しにきたので雑談もドバッといきます!
最近の私は……

Amazonプライムビデオで『バチェラー・ジャパン』を観ています。

放送開始の頃にすごくテレビCMを流してたけど、
25人の美女がたったひとりのハイスペ男子をめぐって競うというアレな!
どうやら完結したようですが、ウチではエピソード9まで観たところです(全12話)。

私もさーーご多分に漏れず CMを観た段階では
「ヘッ!!!!」って思っていたの!
『テラスハウス』も『恋んトス』も観てたのにそれでもやっぱ最初は
「ヘッ!!!!」って思うもんなの! 

でも、「柳原可奈子のワンダフルナイト」
(ニッポン放送のラジオ番組。radikoにタイムフリーが導入されてから聴くようになった)で
柳原さんが紹介したのがすっごく面白そうだったので、試しに1回目を観てみたら
即ハマり!!!
5話目だか6話目くらいまでは一気に観ました!

なんだろうなぁ。
ルールとしては、25人の女の子から毎回失格者が出るんですよ。
「バチェラー」(たったひとりの男性のほう。今回は実業家の久保裕丈さん)が、
「これから僕が関係を深めていきたいと思っている女性」を選んで
バラを渡し、最後まで渡されなかった人が失格となり帰る。っていうふうになってるんです。
初回だけは5人脱落で、その後しばらくは2人ずつ……だったかな?

最初は25人の女の子なんて覚えらんないし、
彼女たち&久保さんの絡みもうっすーいので、登場人物に対して何の印象もないんだけど、
人数が減り、久保さんとの絡み&女性同士の絡みが重なるにつれて、
だんだん女性陣のことがわかっていくんです。
それが多分……面白い!!!
最初「この人ヤダ!」「感じわりぃ!」みたく思ってた子が、
脱落する時には泣くほどショックだったっていうことが、結構起こる!
私は2回くらい起こったし多分もうすぐ3回目が起こるww

なんかこの、「人の印象が変わる」っていうのが、面白いんじゃないかなあ。
リアルでも「わっ、この人ってこんな人だったんだ!」って思う時って
良い時でも悪い時でもすごくエキサイティングじゃないですか。
それをバシバシ味わえる……シチュエーションなんですよ。これが。

『テラスハウス』は〜…… 
私観てたの「IN THE CITY」の前半なんですけど
「人の印象が変わる」機会が少なかったように思う。
話のテンポも遅いし、「いい子の皮」を脱がないまま
メンバーが出ていっちゃうような感じも全体的にあったし。

でも『バチェラー』は、「選ばれなければ即脱落」というルール上、
そんなにいい子でいられない! 
それがやっぱ、女の子たちの印象の変化に繋がっていくんだと思う。
(それでもいい子のまま、っていう姿もこのルール上では意味を持って映るし。)
ほんと、予想以上に楽しかったですよ!

でも反面。。。
女の子たちをおおまかには好きになっていく反面、
「バチェラー」こと久保裕丈だけは!!!!



好きになれないんですよぉ〜……(小声)



ていうか、どんどん好感度が下がっていく。
ネットで他人の感想とか漁っても、だいたい言われているのが

観る前:どうせいけすかないチャラ男なんでしょ? 
序盤〜中盤:チャラ男じゃなかった! 女の子みんなに気遣いする、デキる男だ! 
中盤すぎ:えっ???

っていう感じのことで。
ほんと私から久保さんへの印象もこのまんまです。

私実を言うと、この番組を観ていくにあたって、一番の疑問として
「この男はなんなのだろう???」
っていうことを 置いてたんですよ。もう、初回から。
女の子を見たいっていうより、バチェラーのほうを見たかった。

東京生まれで東大院卒、若くして起業→売り抜けに成功、
今もコンサルとして活躍中しかも文武両道のおしゃれイケメン みたいな人がさ……
結婚相手を探すためにこんな番組に出る必要は、本当は絶対ないわけですよ。
男性としては若干身長が低い(画面で見た感じは170弱ぐらい?)のと
35歳という年齢を考慮しても、
もし「結婚したい!」って宣言したら、
釣り合う相手(才女で美人!)がベルトコンベアーに乗ったかのように運ばれてくる
そういうスペックなわけっすよ。

それなのに敢えて……
学歴職歴がまったく釣り合わない女の子たちの中に飛び込んで
結婚相手を探すっていうのは……

 1)ネタ的興味、好奇心
 2)商売上の計算から(=自分の顔を売るため)
 3)ロマンチストすぎて

の、どれかでしょう。

まぁ妥当に考えると「2」と思う人が多いんでしょうけど
わたしはやっぱ、「3」であって欲しかった!!!!!
「肩書で釣り合う」とかじゃないサムシングエルスを
まだ見ぬ女性の中に探したい、探し出して結婚したい、
っていうストーリーだとイイナ! と思ったのだよ。
この、最初は大勢の女の子に気遣いするので精一杯の男の人が、
どんどん素顔になっていって、大好きな女の子を見つけ出せるといいな!
って思ったの。

でも。
6話を過ぎて、人数がぐっと減ってきたあたりで気が付くのは、

この男全然女の子のこと見てないな……

っていうことです。
恋のサムシングエルスなんて、全然探してないなって。



やばいこの記事、終わんない。
久保への不満が止まらない。
前後編に分けます。


by refri5erat0r | 2017-05-02 14:57 | 雑記


前の記事からの続きです。
『バチェラー・ジャパン』久保さんへのふまん!!! です。

女性が20人とか15人とかいる時はさぁ、
浅い会話しかできなくても、まあそんなん当然じゃないですか。
ひとりあたりに割ける時間がすっごい短いし、
女の子のアプローチに対して「すごいドキドキしてるw」「嬉しいw」
とか言ってるだけでも 仕方ないじゃないすか。

でも、残りが何人になった時かなぁ……
6話か7話あたりで、「もうかなり女性陣絞れただろう」ってラインに来るんですよ。
しようと思ったら深い話もできるし、
ていうかそろそろしないとマズいだろう……っていうライン。
久保さんも、序盤から「女性の素顔が見たい」っていうことは
繰り返し言ってんですよね。自分で。

でも……そのわりに素顔なんて全然見ようとしてない!

昨日エピソード9を見たんですけど、ここではもう残り5人ですよ、
25人が5人まで絞れてるし久保の好みの女性が視聴者にも伝わってるわけですよ、
それなのにふたりきりになった時に女性に向ける質問が……
「結婚したらどんな生活を送りたい?」
「どんなプロポーズが理想?」



ファーーーーーーーーーーー(脳みそ蒸発した音)



ヤンキー上がりの19歳でも言うやつ! それ!

しかもね、ちょっと面白いのが、
久保さんって全編通してこ〜、当たり障りのないことしか言わない、
「初対面の女性に感じよく思われるレベルの会話」を繰り返しているわりに、
家事をしてほしいという要求だけはやたらキッパリ断る!
そこだけは序盤から9話まで通してしっっっかりと断っている!!ww
9話でのとある女性とのやりとりはこんな感じでした。
  女性「ごはんは私が作るけど……たまに食器洗いはして?」
  久保「苦手!」
1秒置かずにさわやかな苦笑いとともに「苦手!」

まそれはいんですよ。私はそういう男性と結婚すんの絶ッッ対やだけど、
久保さんはすげー忙しくて一切そんなことしたくないってんだったら
したくないで、まあしなくていいって言う人探せばいいと思うの。

でもだったら、そこはもう、早めに言ってこ!!?!! 
みたいな!
「どんな結婚生活を送りたい?^^」って
若い女の子のふわっとした夢聞いてあげてる場合じゃなくてさ!
「僕一切の家事をしたくないし、かといって人を雇うのもしたくないんだけど、
 (したくなさそうなんですよ、会話のニュアンスから推定するに)
 君はそういうの全部やってくれる人かな?」
って! さっさと訊け!!!!! って思うの。


結婚生活に大事なことを早く言わないからキレてる……だけじゃなくて、
なんだろう。
私個人的に、この人の態度すべてに
「見たいとこしか見ないフィルター」を感じるんですよ。
たぶん、お仕事の時はそんなことなくって
(コンサルっていう仕事の内容はよく知らないけどそういうの重要でしょうね)
ちゃんと見たくないところも見て行動してるんだろうけど、
こと恋愛の場になると、
「僕が見たい○○さん」みたいな形でしか、女の人を見てない。
っていうふうに、私には見えてしまいます。

家事とか……そういうレベルの話を、厳密に擦り合わせなんかしなくても、
僕のことを好きになってくれたらきっとやってくれるだろう。
って思ってるように見える。
だから、結婚相手探しの場なのに現実的な話をせずに
女の子が喜ぶ(と久保さんが思ってる)夢みたいな話ばっかしてるんだろうなーって。

ま別に。いいのよそれでも。
「誰を選ぶか」って段階では。
どうせ選ばなかった人のことなんかわかんないし、
選ばれた女性も、自分のどういう部分を気に入ってもらえたかちゃんとわかって
しばらくは行動するだろうし。

でもこういう男と結婚するのはマジで地獄!!!

って私は思います。。。
見たいようにしか妻を見ない。
妻本人じゃなくって、「僕の大好きな妻」のイメージを見ている。
前にこんな記事書いてますけど



これに出てくる「俺バリヤー」を、
まさに久保氏は張ってると思う。。。
しかも交際前から張っちゃってるほうの人。


すごい悪く書きすぎちゃったかな……。知らない人なのに……。

もしかして私が男性一般の「俺バリヤー」を憎んでいるがゆえに
それを勝手に久保さんに重ねてイラ〜っとしているのかもしれないしな。
あと、そもそもの期待が大きかったってことでもありますよ、もちろん。
「こんなクレバーでデキる男性が女性と深く思いを通わせるとこなんて、
そんなの絶対観たい!」
って、序盤で前のめりになりすぎていたのかもしれないよ。

ちなみに一緒に『バチェラー』を観てきた夫は、
こんな久保さんのことを悪くは思ってないみたいです。
「視聴者に嫌われたくないんでしょ? すごく気遣ってると思うよ」だそうで。
確かに、「家事したくない! 君やって!」って言うのは
女性から大バッシングを受けることになるだろうから、その辺の配慮もあるのかな?

テレビで見える部分でも少しフォローすると、あれですよ、
エピソード9では、「まあいいか。」って思える場面もあった。
とある女性(私はもうこの人と絶対にくっつくだろうと思っている女性)とのやりとりで
本当に楽しそうな顔になった久保さんを見ることができて、その瞬間は、
「まあそれも恋か。」っていう気持ちになった。なんか。
たとえ相手のことグイグイ知ろうとしてなくても、
イメージの彼女に恋しているだけだとしても、
イメージと現実がふぁっと重なった時に完璧な絶頂を味わえる。
その絶頂だけはやっぱ本物だなって。
このシーンでは夫も、すかさず「今のはいい!」って言ってました。
ほんとに画面から何か伝わってきたのよ。

まあ。選んだ彼女のことは
これからよく見てあげてくださいって思います。
選ばれた女の子のほうには、我慢しすぎないでねって思います。。。

私がこの先のエピソードを観るかどうかは……
「バチェラーがどんな人か」っていう目線では難しくなってきました。
でもあと3話だし、結末を知らないのももやもやするから多分観るかな。うん。
みなさんも。女性陣の動きはほんっと楽しいので、
敬遠している人はぜひ1回観てみて欲しい! です!



by refri5erat0r | 2017-05-02 14:43 | 雑記

ただ待っている時間


こんばんは。豊島ミホです。

井上荒野さんの『ズームーデイズ』(小学館文庫)を読んだよ。
なんか、長編恋愛小説読むぞモードになり。
再読です。前は08年11月、文庫化直後に読んでます
(このブログに感想はないけど日記に書いてあった)。

恋愛小説……恋愛「だけ」の小説って最近少ないよね?!
恋愛自慢エッセイが全然ないっていう泣き言を最近書いたけど
恋愛小説もやはし新刊としては見かけなくなっている感。。。

恋愛じゃない何か(事件とか試練とか)が起こって、
それを解決する過程でついでに胸キュンも起こってる! みたいな本はあるけど。
あとは自己実現的な。恋をする過程で大きな心の傷が癒える、みたいな
お話も多分あるかな。。。

でも私はマジに恋愛「だけ」のお話が読みたい。
恋にかまけ純粋に恋だけに終わる小説が読みたい。
乗り越えなくていい。選ばれなくていい。立ち向かわなくていい。
でも、心は荒波の中の航海士。みたいなやつ。

きっと『ズームーデイズ』はそうだった! 多分!
と思い出してもう1回買って読みましたよ……
ソッコーで読みたくなりすぎて在庫検索できる書店に買いに走ったよ。
Amazonプライムでも遅い! 今! みたいな気持ちで。

そしたらば超〜〜〜〜


面白かった!


一気読みしてしまいました。


物語は「ザ・恋愛小説」として始まります。
主人公は30歳(か、お話の冒頭ではその少し前)の女性。
2世小説家で肩書は「作家」、テレビに出たり雑誌記事書いたりしてるけど
本を何年も前に1冊出したきりで、最近ろくに小説は書いていない。
彼女が、テレビ局でアルバイトをしていた22歳のおしゃれ大学生と出会って
恋が始まります。(8つ下やで!)

このおしゃれ大学生(あだ名は「ズームー」)が
とりあえず、んめっっっちゃかわいい。
恋の始まりの、相手がキラキラしてしか見えない時期、
ただひたすらに楽しいだけの時間のかがやきがそのまま書いてあって
読んでるこっちも「ファア…… 好き……!」ってなる!!
ズームー、見た目はおしゃれでかわいいし都会人なんだけど
中身が怒涛にピュアなのもまた……!!

しかしソッコーで雲行きは怪しくなります。
このお話がそもそも回想形式で語られているため
始まってすぐに「終わり」は見えているんですよ。

 ズームーとは七年間暮らした。
 三十歳から三十七歳まで。バカで怠惰で可哀想で不可思議な日々。
(中略)
 七年間、私は何もしなかった。ただズームーと暮らしていた。ズームーは、あの日々そのものだったとも言える。
 <文庫版 p.4より>

 私たちは家具を買い、カーテン生地を買い、縫い、それぞれの(連名ではない)転居通知用の絵はがきを選び、文面を考えた。引っ越しの準備は――お金の工面さえ――忙しくも心浮き立つことであり、そのうきうきは、恋に似ていないこともなかった。だから私たちは七年の間に、しばしば引越しをした。
 <文庫版 p.17より>

恋に似ている「うきうき」を引越しで人工的に作り出さなければならない7年間。
それなのに他のことをなんにもしないで「ただズームーと暮らし」ているという7年間。
(言葉は失礼ですが)ろくでもないかほりがぷんぷん漂ってきますね!

そしてソッコーでときめき描写的なものはなくなっていきます……
途中で私は気付いた。
「これ恋愛小説じゃねえじゃん」ということに。
多分4分の1から3分の1くらいで気付いた。

そもそも主人公の「私」には、最初から他に恋人(妻子ある男)がいて、
その辛い恋(?)から逃れるためにズームーと「安らかな恋」をしようとしている。
そんな状況がゆるやかに解決していくでもなく、
どんどん悪くなっていきます。
恋人の態度は冷たくなる一方。一緒に住んだはいいけど金の尽きた
「私」とズームーはずるずると「私」の実家に寄生。
(なにしろお父さんが有名な作家なので実家に経済的ゆとりはある。)
実家に寄生するとやがてズームーは帰りが遅くなり、
「私」は相変わらずろくろく小説書かないまま
実家の母に対して仕事してるフリを続ける……。

ってほんとあらすじだけ抜き出すとくら〜い筋書きですけど、
これが読むと! 面白いんですよ〜〜〜〜「私」のダメぶりが!!!!
なんていうの。「ダメ」の書き方って色々あるけど
この作品中での書き方は決して自虐的でないし、
過剰な「どやこんなにダメですぞ」みたいな感じもしないし、
なんでしょうね?! どういう書き方で読み手がこういう感じ方になるのかわかんない!
ただひたすら「うひゃひゃ」って感じなの、読んでいる間!
親近感がわいてくる!

この小説って、
「うだつのあがらない日々のお話」
なんだ。
って途中でわかるのです。
ズームーデイズというのは、「めいっぱいの恋をした日々」とかじゃなくって、
もうどうしようもなく、「うだつがあがんなかった日々」のことなんだ、て。

巻末の解説で、角田光代さんがこう書いています。

 しかしこの小説は、ひとりの女性の愚かしさを描いた小説ではないし、自己コントロールのきかない恋愛を描いたものでもない、と私は思う。これは一見恋愛小説のようだけれど、そうではない、とすら思うのだ。
(中略)
 無為というものについて、この小説から突きつけられたような気がしたのである。何も作り出さないこと、決して前へ進まないこと、その場にうずくまること、目を閉じること。そのような状態に、私たちはどのくらい留まることができるのか。
 <文庫版 p.199-200>

「そうそう!」とうなずきました解説のこの部分読んで……。
正直自分が書いてもらった以外の解説で
ここまで「大事なことを言ってくれた!」みたいなやつ読んだことなかったっていうほど。。。
これ、「無為な時間」を書き残した小説なんですよne!!!(←ちかしい)

なおかつこの小説がすごいのは、
最後まで読んだ時に、その「無為な時間」を「無駄」とは思わなかったこと……。
これは個人的な読後感かもしれないけれど。
今、絶賛うだつのあがらねえタイムを過ごし中の私だから感じることかもしれないけどw
(も、ほんと主人公に対して「仲間感」しかなかった! さいごまで!
 いつの間にか働いてた時「うらぎりやがって!」くらいおもったwwww)
なんかそういう、「ただ待っている時間」? やりすごさなければいけない時って
あっても……しかたないと思う。
しかたないし、それを振り返った時に……なんていうの。
この話って、登場人物結構みんな最後までしょーもないんですけど
(主人公もズームーも妻子ある恋人もみんな)
それをどんな形であれ一緒に過ごしてくれた人に、
ありがとうって言いたくなるような。感傷を呼び起こさせる。
この無為な時間が「ないほうがよかった」とはね、言い切れないって気持ちになる。

究極、この主人公がこの無為な7年間なんて過ごさずにかんばれたか?
っていうと、私全然そー思わないし……。
いいじゃん。こんな7年、あってもいーじゃんって。
他人のことだししかも終わったことだから言えるのかもしれないけど
まあでも終わってしまったらほんとそう言っても差し支えないと思う……。

ちょっとこれは。
うだつのあがらねえ日々を過ごしている仲間(誰か知らないけど)には
読んで欲しいですね!!
まあ主人公は経済的にめっちゃ恵まれてるので
(家賃も入れず実家持ちのマンション住まい+文筆業で適当に小遣いは入るという環境)
現代の「うだつのあがらねえ人」からすると「おいおい優雅だな!」
「俺がそんな恵まれた環境にいたら真面目に仕事するけどな!」みたいな
ふーなこと 感じなくはないかもしれないけど……。
比較を持ち出さずに読める人にだったら おすすめしたいです!

この小説とは関係なく
「ただ待っている」能力って意外と大事かもなー
て感じること多いです。最近。
なにもせずに待つみたいなこと。
なんかしようなんとかしよう! って思っても
自分の力でなんともなんないときって。あると思うの。
そういう時にぐるぐる「問題解決問題解決!」って言って
自分を追い込むというのが私がさんっざんハマってきたパターンだな! って……。
感じるようになったよ。

そういうのと『ズームーデイズ』はぴったりはまって面白かったです。
ま、「ただ待っている」のもそれはそれでものすごくしんどい……
そのしんどさについてもしっかり言及してある小説なので
なおいっそうおすすめなんだよ。



by refri5erat0r | 2016-12-03 20:36 | 読んだものの感想

女がいなくなる時は

こんばんは豊島ミホです。

昨日夫に買い与えられた村上春樹の新しい文庫
『女のいない男たち』を、昨晩から今日昼にかけて読みました。

読書体験自体はやっぱり非常にスムーズで心地よく
作品に対しなんの文句もなかったんですけど、
タイミングの悪いことに、私はちょうど
「失恋について男が語っている対話」をほかの媒体で目にした後でして(それは確か月曜日の夜)、
それに対してはむっちゃ釈然としない気持ち……なんなら怒りを抱えていたので、
本を閉じた後15分くらいしてから、突然

ムラッ……

としてきた!
何か腹のなかに収まらない気持ちを感じた!


『女のいない男たち』は、男の失恋短編集なんですよ。
6作収録されてるんだけど、5本目を除いてすべての短編で
女が理由なく(※男目線では)男のもとを去っていく。
だから作品タイトルの「女のいない男たち」っていうのは
「女が不要な男たち」とか「女を獲得できない男たち」ってことじゃなく
「女に去られた男たち」という意味。
出てくる男たちは皆、一度は女と濃い関係を持った男ということになります。

しかもほとんどの話で、男側は女に対し強い気持ちを持っていて、
それにふさわしい丁重な扱いもしている。
そんな中で「なぜか」! 女がいなくなってしまう……

その「なぜか」! 感はラストに収録された表題作「女のいない男たち」で
わかりやすく強調されています。


 でもそれからエムは、いつの間にか姿を消してしまう。どこに行ってしまったのだろう? 僕はエムを見失う。何かがあって、少しよそ見をしていた隙に、彼女はどこかに立ち去ってしまう。さっきまでそこにいたのに、気がついたとき、彼女はもういない。たぶんどこかの小狡い船乗りに誘われて、マルセイユだか象牙海岸だかに連れていかれたのだろう。僕の失望は彼らが渡ったどんな海よりも深い。
 <文春文庫版 p.284-285より>

 でももちろん僕が再び彼女を失う時はやってきた。だって世界中の船乗りたちが彼女をつけ狙っているのだ。僕一人で護り切れるわけがない。誰だってちょっとくらい目を離すことはある。眠らなくてはならないし、洗面所にもいかなくてはならない。バスタブだって洗わなくてはならない。玉葱を刻んだり、インゲンのへたをとったりもする。車のタイヤの空気圧をチェックする必要もある。そのようにして僕らは離れ離れになった。というか、彼女が僕から去っていったのだ。そこにはもちろん水夫の確かな影がある。
  <同p.287-288より>



女は水夫のせいでいなくなるんじゃないっ……!!!



と私は思った。
読んでる時は思わなかったけど本を閉じて15分くらい後で強烈に思った。

当のお前以外を理由にしては絶対にいなくならないっっ……!!!!!!!!

って。


ここで話を「月曜日に目にした失恋男子の対話」のほうへ戻すと、
それは 30がらみのフラれたばかりの独身男性たちが、
なんでフラれたかの反省会をするっていうものだったんですよ。
その……恋愛の捉え方? みたいなものに触れて
私はひさびさに ひゃっ!!! ってなった!

なんていうんでしょうね。
付き合いたての蜜月の頃は別として(その話の中でも別だった)
結局のところ 男は女をどこかのタイミングでミッション化している。
「仕事」と並列の項目として「女」があるみたいな状態になる……

その話の中で、「彼女に対し〜〜しなきゃいけなくなる」
「が、俺は無理だった」みたいなことが
別れの理由として語られていたんですけど、
なんなのその……義務感……? 任務感……?
任務として捉えられた時点で 私だったら去る。ソクサる!!!!
(話の中の「彼女」も最終的に去っていったわけだが。)

なんかこれ ディティールが引っかかったとか そういうレベルの話じゃないんですよ。
30歳以上の女性たちに「わかるしょ?!」って泣きながら問いかけたい!!
男って! いつの間にか勝手に「俺バリヤー」の中に戻っていく!
ちょっと文章で伝えられる気しないんで図で描きますね、


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これ!!!


これなに?!!


なんかこぉ 相手の中に「概念化した女」としてしか存在しなくなる感じ!
リアルの私とは何も共有してもらってない感じ!
なんでこゆこと起きんの?!
(付き合う前からこういう感じの人すらいるよね?!
 そういう男は間違いなく美人に特攻するから私はまったく被害を受けてませんが)
(あ、あとこの文章すげえ怒ってますけど、あくまで思い出し怒りで
 夫には一切「俺バリヤー」に入る兆候がありません。
 交際から数えて2年以上経ってもずっと図1の状態です……イケメンすぎる)

まーとにかくこうなると 女側としては去りたくなる。
虚しい、自分のやってることが。
そしてこれで去られたほうは……
「俺バリヤー」の中に概念の彼女が存在しているのに
リアル彼女はいなくなっちゃうという「失恋」状態になる。
概念の彼女はそれなりに大事に思っていたわけだから
「僕は大事にしていたのに、どうしていなくなっちゃったんだ!」ってなる。


これ『女のいない男たち』と関係ないって?
そりゃーないかもしれないです……。
それぞれの短編で 女がなぜ去るのかという理由が描かれていない以上
理由について憶測であれこれ言っても仕方ない。
(1話目「ドライブ・マイ・カー」は妻が浮気した理由に
 ダイレクトに迫っていくので、仮説くらいは出る。
 そのせいか私は1話目がかなり好きです)
あと、上では他の女性に思いっきり共感を求めているけど、
実際には理由なく男のもとを去ってくタイプの女性も、いっぱいいるのかもしれない。
そういう女性が、『女のいない男たち』に描かれた「女」であるのかもしれない。

でもこーやってここで、ごく個人的な経験からしか言うことのできない
男と女の気持ちのすれ違いについてまくしたてたのは、
ネットでざっと検索かけて結果の上位を見た限り、
誰もこの本から受け取った気持ちについて書いていなかったからです。
「男の失恋」という普遍的な題材から、自分の経験のどこを掘り起こされたかを。

村上春樹の本の「感想」と題したものって、「評価」ばっかりだった。
高名で実力ある作家であればあるほど、「感想」じゃなくて「評価」を書かれてしまうのね。
しょっぺえ現実……。
まーもっとも作家に言葉を届けたい人のほんとの「感想」って
手紙で届いているものだから、村上氏を気の毒には思いませんけど。

ただ「この作品を通したみんなの失恋観が読みたいっっ!!!」
と思って検索かけた私が切なくなっただけ!
結構ねばったんですけど! 「女のいない男たち 俺も失恋」で検索するとかwww
これさ男の人共感したの?!
女の人素直に受け取れてんの?!
どうなの?!
文庫になったことだしライトな春樹読者のみんな「感想」を書こうぜーー\(^o^)/ (いざない)

ちなみに本の感想書く時たびにだいたい書いてるけど
私は「共感できる本がいい本」って思想の人じゃないんで。
反感を覚えたりこういうムラッとくる気持ちを覚えたりしても
それが不快なもの(不快な書き方?)でない限りは
逆にその気持ちが鮮やかであればあるほど「いい読書だった」と思うよ!
普段人と接していてもわからないような、物事の捉え方や感覚の違いを
うっすらとでもわかるようにしてくれるって、読書の効用ですよね。
だから『女のいない男たち』も好きか嫌いか訊かれたら余裕で好きだし
どれが一番おもしろかったかと言われると引用した表題作がおもしろかった。多分。
水夫のたとえはずっと忘れまいよ。



by refri5erat0r | 2016-10-13 01:58 | 読んだものの感想
こんばんは豊島ミホです。

今まではTwitterでお仕事告知していましたが、
Twitterをやめたので、ブログで。

「性の“いま”を知る」というコーナーでインタビューを担当した
『特選小説』11月号が発売になっています。
今回は、イラストレーター&ライターのいしいのりえさんに、
新刊『性を書く女たち』のお話をうかがいました。

性を書く女たち: インタビューと特選小説ガイド

いしい のりえ/青弓社


いしいさんといえば、小説誌のちょっとセクシーなお話に
スタイリッシュな挿画を描いていらっしゃるのをよくお見かけします。
が、この本はイラストの本ではなく、
官能小説の「レビュー&インタビュー本」
そして表紙のイラスト(もちろんいしいさん筆)からわかるように、
女性向けです。女性向けの、官能小説ガイドなのです。
丁寧かつ正確な筆致の小説レビューが、約60本も収録されています〜。

「官能小説ガイド」といっても、いわゆる官能レーベルの本だけではなくて
一般文芸、名作純文学なども結構含まれているので
「いわゆる『官能小説』じゃないけどしっかりエロい小説」が読みたい
という貴女に超おすすめ!
いっぽうで、「官能レーベルから出てるガチの官能小説」も
ちゃんと紹介されていますので、そっちを齧ってみたい人にもまた、おすすめ。です。

記事に書きましたが、私も色鉛筆片手に
読みたい本にチェック入れながら読んでいきました〜。
せっかくなのでそうして出会った本もここで紹介しちゃう!


団鬼六『不貞の季節』

じつは……じつはじつは……
私、団先生の本をここまで読まずに来たんです!
官能小説の大家オブ大家と存じ上げながら!!!
団作品=「しっかりと世界観を作り込んだ格調高いSM」というイメージを
漠然と持っていて、興味がないではないけれど、なんていうの。
フッツーの感性の持ち主である私に理解できるのかしら感があって。
なんとなく手を出せずにいました。

でもこの『不貞の季節』は、団先生自身が主人公の
「エセ私小説」? なので、
格調……とかっていうより、もうちょっと普段着の。
入っていきやすい設定なのですよ。

あらすじとしては、
作家として売れる前(売れていく頃、だっけ?)の団先生が、
妻に浮気され、その「不貞行為」の内容を
微に入り細に入り浮気相手の男から聞き出す! 
というお話です。
だから……「エロいことが主人公の目の前で行われるお話」じゃないんですよ。
ぜんぶ又聞きになってるの。
でもそれがすんんんんんんごいエロい!!!
こんなん読んだことない! っていうくらいエロかったですサイコー

やっぱり大家は大家なんだなと思いました。
まじでこれみんな読んだほうがいい。
いわゆるねとられものですけど、どんな性癖の人でも
なんかこう、身体にぽっとくるものあると思うよ。

中編集なので、表題作のほかにも収録作品あるんですが
私は表題作がだんとつ推しです。


そしてもう1冊、いしいさん紹介本から読んだのが

草凪優『悪い女』

悪い女 (実業之日本社文庫)

草凪 優/実業之日本社


いちおう……インタビュー材料でもあるのでw
いしいさんが個人的に好きそうな本をぜひ読んでいこうと思ったんです。
いしいさんのレビューはどれも筆が滑るところなく客観的で、
いい意味で思い入れの多寡が測りづらかったんですが、そんな中で
草凪さんのことだけは、「一番好き」とはっきり書いてありました。
それでこの本を選んでみた……のですが

読み始めて間もなく心がざわざわしだした!
面白すぎて!!!

草凪さんの短編は「特選小説」などで何度か拝見していたし
楽しんでいたんですけど、長編を読むのは初めてでした。
というか、私官能の長編を一気読みするのが初めてだな。
(連載でちびちび追ってることはあったけど)

あんまり読まないで解説するのもなんですけど、
多分、官能の長編って、他のエンタメ長編と違って、
どうしてもかなり「連作短編」に近い形にせざるをえないんですね。
なぜなら読者は最低でも40〜50枚につき1回は興奮したいから!
最後の山場に向けてゆっくりと盛り上がるなんてことはしていられない!
ようは官能小説は「ほんとは短編しかありえない」ジャンルなのですyo。

しかも、同じ登場人物の性行為を繰り返し読んでも飽きるので
普通はひとつの「短編」ごとにキャラも交替しないといけないw
主人公が、違う相手と5、6回の性行為をすることで
1本の「長編」が成り立つっていう形が基本になってる……のだと思います。
全部そうだかは知らないけど睦月影郎先生の『欲情の文法』には
そんなことが書いてあった。たしか。

で、確かに『悪い女』も、この「官能長編の基本フォーマット」に収まってる。
主人公の女性が、違う男とセックスを繰り返す連作短編、的長編になってる。
なんだけどその「フォーマット」をまったく感じさせないの!!!
「フォーマット」であるはずのものが、長編物語のための必然になってる……!!


ぎゃーーーー!!!!!


っておもったよね。
だいたい、これ、超ピュアな恋愛小説なんですよ!
「違う男とセックスを繰り返」しているのにw
私も「この物語は官能小説のフォーマットがどうちゃらこうちゃら!」とか
考えながら話を読んでたわけではなくて、途中からはもう没入よ。ぼつにゅう!!
別に私こんな恋愛してないけど、没入しすぎて
「ボケた時老人ホームでこの話を若き日の記憶として語りだすなおれ」
って思った。まじで。
それくらい入り込んだ。
読んでるあいだじゅう動悸が止まらなかった。

草凪優さんは、男性なんですが
女性主人公のやってること考えてることに嘘っぽさが全然ないしね……。
なんだろうこれ。この小説。
なんなんだろうまじで!!!

表紙から分類すれば、がっつりのほうの官能小説なんですけど
電子書籍でさくっと買えるので、いろんな人に読んでほしいです。。。
自分が読者だったらネタバレしてほしくない系の話なので
あらすじはずばっと割愛! もう買っちゃって欲しい……!


で、やっと話を戻すと、こんな貴重な出会いをくれた
『性を書く女たち』でした……ありがとうございます!(いしいさんに)
ほんと、「今読める官能(的な)小説」の幅広いガイドなので、
興味ある方はぜひぜひぜひ。

「女たち」というタイトルなのにここに引いたのが
男性作家さんの作品になってしまったは申し訳ないんですがw
女性作家さんの作品でチェック入れてるものもあるので、
これから読みます。

あ、「女たち」なのは、インタビュー部分が
女性作家さんメインだからですよー。
このインタビュー、雑誌に載ってるような新刊インタビューよりは
長めなので、他ではなかなか読めない赤裸々な話が揃っていました……。
「R-18文学賞」メンバーでは、南綾子さんが登場しています。


話はがらっと変わりますが、もうひとつ仕事の告知を。
長らく担当させていただいた『別冊マーガレット』の「まんが家さんに会いたい!」が
先月発売の9月号をもって最終回を迎えました。
なんと総勢11名! の連載作家さんにお話をうかがうことができました。
楽しかった……! し、まんが家じゃないけど本当勉強になりました!

そのうち振り返っての感想もブログに書きたいなぁー
と思ってはいますが、とりあえず今日はご挨拶まで。
今までの担当さま、おつきあいして下さった読者のみなさま、
そしてお忙しい中私のしつこい質問に答えてくださったまんが家の先生がた!
どうもありがとうございました。


by refri5erat0r | 2016-09-26 20:37 | 告知
こんにちは豊島ミホです。
長いことブログを書いてませんでしたが
あまりに面白すぎる本に出会ったのでっ……!
すぱぱぱっと紹介しちゃいたいと思います!


びりっかすの神さま (偕成社文庫)

岡田 淳 / 偕成社



『びりっかすの神さま』

1988年発表の超有名な児童書です。
私の世代がだいたいリアルタイムですよね……
でも小学3年で活字界から逃亡した私は読んでませんでした。
この間夫が「急に再読したくなった」と買ってきたので
私も何の気なしに読んだんですが、まあ……


はんぱねえエンタメ性とメッセージ性に戦慄!!!!


舞台はとある小学校の4年1組。
主人公の始(はじめ)は転入生です。
転入早々彼が教室で目にしたものは、
くたびれた背広を着たぼさぼさ頭の妖精!

やがて始は気づいていきます。
そのクラスの席順が、テストの順位を元に決まっているということ
(※成績悪い人が前、だったら指導のためなのでわかるけど
 悪い人ほど後ろという「ただの見せしめ」系)。
テストも給食を食べる速さも、
「人に勝つ」ということが奨励されていること。
「びりっかす」の人間は、当然のようにみんなから見下され
先生の前であろうといじめられていること。
そして「妖精」が、何か競争の結果が出るたびに
「びりっかす」の人のところにまとわりついているということ……。

だいたいこの辺までの話は夫に聞いて把握していたので、
読むまでは
「びりでも誰かは君のがんばりを見ているよ!」
的なお話かなあと思ったんですよ。
困った時に、「びりっかすの神さま」がちょっとだけ手を貸してくれるとか……。

でも全然そんなお話じゃないんです。
「びりっかすの神さま」はなんの力も持ってないし
びりの子の味方でもない。
きみはいったいなんなの、と始に問いただされた妖精は
自分をこのように語ります。


  競争して順位をつけると、とうぜん最下位のものができる。
  おれは気がつけば、いつも最下位をとった子のまわりに
  ただよっていたんだ。
  いや、そういうよりも、
  できのわるかった子の気分っていうか、感じっていうか、
  そういうものがよりあつまって、おれがうまれた
  っていうほうがいいかもしれん。

  (偕成社文庫版 p.38-39より)


へんな妖精=「びりっかすの神さま」は
教室の空気やびりの子の劣等感そのものであって
状況に介入する力も意思も持ってないんです!
うひょぉ。

そして彼の姿は、転校生である始にしか感じられません。
びりの子も、そうでない子も、
妖精がふわふわ教室の中をただよっていても
全然気づかない。
始は、よりダイレクトに妖精とコンタクトするために
みずから最下位を取ることにし、それに成功します。
最初はきれぎれの声しか聞こえず、姿があやふやだった妖精も、
びりを取るとはっきりと姿を現し、心で対話できるようになります。

なんだこれ社会学の話か?!

って思ったよねうん思ったー
システムに組み込まれちゃうとよくわかんないことを
外側から来た人は認識できるし、
意図的に状況を動かしてみることもできる、みたいな。
妖精との対話というのは、客観的分析のことかな? 
と思いました、最初は。

でも、さらに思わぬ方向に話は進みます。
キーになるのは妖精との対話。
「気分」とか「感じ」である妖精を
意識した上でびりを取った始は、
妖精と対話できるようになりますが、
これがなんと! 始以外の子にも起こるようになるのです。
そうすると、どうなるか……?

あっちょっとこの辺からネタバレ入ってくるな……。
全然筋を知りたくない方はこの辺で離脱してください。

んもーこの先の展開がすごい!
ここまででまだお話の3分の1くらいにしかなってない!
出てくる子はみんなわりと普通の子、普通のクラスなのに
まじかよっていうほどエキサイティングに話が転がっていきます。
痛快爽快! でも悪い意味でのフィクションっぽさは全然ない!
正直、誰が読んでも、何歳の人が読んでも
絶対面白い本になると思います!

あーこの名作を今まで読まないできた私って。。。

でも、子どもの時読んだ、って人も
もう1回読むといいと思いますよ。
大人になってわかることあるはずなんで。

下にネタバレ感想文も書きます。
ほんとにネタバレなので。できれば読んでから見てもらいたい。
by refri5erat0r | 2016-06-15 15:20 | 読んだものの感想
上の記事の続きであるところの
『びりっかすの神さま』ネタバレ感想文です(あらすじはそちらで説明済)。
感想文ゆーても学校の感想文に役立つようなものじゃないんで
それを求めてる方はよそへお願いしま〜す☆



この作品の舞台となる教室は、
人に勝つことが目的の競争主義社会。
そこに、過労で父を亡くした始が入っていく……
というのがまーいっこポイントになっているとは思います。

「がんばる」とは何か。
それは、人に勝つことじゃない。勝つためにやるんじゃない。
「本気でやる」ってことなんだ……
この本を最後まで読んだ時に、
一番わかりやすく見えてくるメッセージはそれ。

でも、この本の舞台を
「人に勝つことを奨励される特殊な教室」
って読むだけだとちょっともったいないんじゃないかなあと
私は思いました。

確かに話の中で、始の「がんばる観」はわかりやすく変わります。
でももっと変わってるものあるよね?
お話の最後の最後、始のこんな述懐があります。


  とつぜん、転入してきた日のことを思いだした。
  みんな、のっぺりしたへんな顔に見えたっけ。
  それがいまは、したしみのある顔ばかりになっている。

   (偕成社文庫版 p.176より)


これは始が「転入生だったけど、友だちが増えた」ということ
だけを示しているのではないと思います。
教師の前ですらいじめが横行し、
成績のいい者と悪い者が口をきかない、
ぎすぎすした教室が、変わったということではないでしょうか。

予想つく方もいらっしゃるかもしれませんが、
私はこれを「スクールカーストの物語」として(も)読みました。
物語の中では、競争や順位付けは
結構わかりやすい悪役である担任の先生によって行われています。
でも、これを現代の私たちは、
自らやっている(もしくはやらざるを得ない状況になっている)んだ……
あれって、競争なんだ。って。
物語が始まってすぐ発見しました。

その「カースト」が、見事に解体されていくというのが
この本の筋なわけです。

カーストを解体したのは、なんだったのか。
「びり」を取れば不思議な妖精が見えるようになること、
「びり」を取ったもの同士で
授業中にテレパシーで会話できるようになること、
などなど、「おもしろさ」があったから! っていうのが
やっぱりこのお話では強いようにも思えますが
(びりになる特典がこんなにあったらそりゃなるよ……)
現実にもあるもので言うならば、
「対話」だと思います。

さっきちょっと書きましたが、
設定上、この物語では「びりを取り、妖精の存在を信じた」者だけが
テレパシーを使うことができるようになります。
心で話す。
それによって、もう発言力や相手への視線
(話しかけたくないとか、話す意味もないとか)関係なく
強制的に相手と対話せざるを得なくなるのです。

物語の序盤では「びりっかす」の常連で
いじめられているだけだったみゆきという女の子が、
対話する相手を得てからは、
そのウォーミーな性格によって、
発言を尊重されるようになります。
テレパシーというある種強制的な対話が、
教室に点在しているだけだった個人をつないでいくのです。

そこに「おおお……!」って思ったよね!!
「びり」が面白いからみんなやりました、仲良くなりました、
ついでに「がんばる」の意味も知りました
――っていうそれだけのお話じゃない! と思う!

まーこれを
テレパシー使わずにリアルでやれるかって言ったら難しいけど……

競争っていうのは対話を奪ってんだな
相手を知らないっていうことなんだな


って。思いました。

もうほんと、著者の岡田さんは
どうやってこんな設定思いついたんでしょうねぇ……。
みんな読もう! まじに!
今こそ『びりっかすの神さま』読むべき時代!



今は忙しいんですけど、
この夏、実はちょっと仕事のスケジュールが
ゆったりめになっているんです。
それで個人的に……学校&教育関係の本を
じっくり読んでみよう!! と思っていたりします☆

とりあえずこれ読みたい\(^o^)/
絶対読む\(^o^)/


学校へ行く意味・休む意味: 不登校ってなんだろう? (どう考える?ニッポンの教育問題シリーズ)

滝川 一廣 / 日本図書センター



学校ってなに?
クラスってなに?
みたいなのを、とらえなおしたい。
「なに」ってか「どうであるべき」みたいな
自分なりの理想を見つけたい。
いつまでこだわってんだよーって言われそうだけど
なんかこれ、もう、こだわるべきところなような
気がしてきたんだわ。
過去っていうより未来に向けて。
by refri5erat0r | 2016-06-15 15:14 | 読んだものの感想
2015年があれ(前の記事)で終わるのはあんまりなので、
去年楽しかったこともまとめてみようと思います。

私を去年楽しませてくれたもの〜〜ベスト3!!


1)いくつかの傑作ゲームたち

私は結婚後そんなにゲームしなくなってしまったんですが
夫がゲーマーなので、夫がゲームするのを横で見ています。
全部見てるわけじゃないけど。見るだけで面白いのは見てる。

その中で去年、観戦に夢中になったのが
「ショベルナイト」というゲーム。
2D横スクロールアクションです。
昔なつかしい感じのドット絵だけど新作。
日本語版未リリースなので、国内ではあまり知られていない模様……
でもほんとめっちゃ面白い!

面白い要素、なんなんでしょうね?
「ゲームバランス」と「キャラのかわいさ」かな?
バランスでいうと、難度の高いアクションを要求してくるけど
何回死んでもゲームオーバーにならないところとか。
かわいさは……主に敵キャラのかわいさ!
動きのコミカルさ!
初期ドラクエとかマリオとか、やっぱり敵がかわいい、
敵に愛着が持てるってのが魅力のひとつじゃないですか。
「ショベルナイト」の敵もそれくらいかわいい。
まあ主人公もかわいいですけど。

タイトル通り、主人公はシャベルをかついでる騎士なんです。
全身鎧着て、騎士としてかなりキマってるのに、武器がシャベル!
それでホイサホイサ! って土を掘ったり、
敵をグサーと刺してしまったり……
動くのを見ているだけで、どんどん愛着が深まっていく。
アクションゲームでも「愛着」って大きい要素なんだなと思いました。

日本語版も今年あたり出るといいな……
英語版なのでストーリーはあんまりわからなかったw

あと、去年のゲームじゃないらしいですけど
「Forza Horizon 2」も見ていて楽しかったです。
ヨーロッパの都市や山、広大な土地を走れる
カーレースゲームなんだけど、グラフィックが超綺麗!
りょこうきぶん!
公道で高級車をかっとばしてボロボロにするという
あたまわるいセレブになりきれる感じもとても好きです。


2)ラーメン

ゲームの話だけでだいぶ長くなった。
去年ハマったもので「これはあげねばならん!」というのが
ラーメンです。ラーメン屋さんで食べるラーメン。

出戻りで秋田にいる時、微妙にハマりかけてたんですよね……。
車に乗れないなりに、チャリでぶんぶん市街地のラーメン屋まわったり。
ラーメンって、他の外食と違って、
食べてる間夢中になれるのがいい、って思っていました。
熱いうちに! 麺ののびないうちに! 完食すべく集中する。
そこにあるのは丼と俺だけの世界。

東京に来て、いったんあんまり食べなくなったんですけど
(地方より高いからかな……)
前の家がわりとおいしいラーメン屋の集まった場所だったので
興味本位で巡るようになりました。
ラーメンって、本当に同じ味ない。
麺とスープとちょっとの具だけのシンプルな料理なのに、
一軒一軒全部違うんですよね。
それを夢中で味わうわけだから、やっぱり面白い。

行列が苦手なので、並んで食べたりはしませんが
最近は近所だけじゃなく、出先でも
オススメのラーメン屋を聞いて入ってみたりしています。
(道行く人に訊かないけど、美容院行った時、
 美容師さんに訊いて帰りに寄るとか)


3)夫と回し読む本

ここ、単に「本」にしてもよかったんですけどw
去年は私にしてはたくさんの本を読みました。
夫がたくさん本を読む人なので、つられて……。

読んですぐばっと感想書けばよかったなー! と思う本
いっぱいあるよー!
仕事(「特選小説」の新刊インタビュー)で読んだ本も
面白い本揃いだったし、
バラバラに読んだ本が不思議と関連づいてるみたいな
面白い現象もあったし。

そんな中で、夫と回し読んだ本というのは
また違った印象深さがあります。
ブログに残っているところだと、春に読んだ
坂崎千春さんの『片思いさん』とか。
あれは年末に「面白かった本ベスト3」を考えた時も
まっさきに出てきた! まだまだしつこく人にすすめたい!w

年末にも1冊、エッセイを回し読みました。
山崎ナオコーラさんの『かわいい夫』。

かわいい夫

山崎ナオコーラ / 夏葉社


夫婦の話あり、実家の話あり、仕事の話あり……
という、日常生活のエッセイで、
「夫がかわいい。夫萌え!」みたいな内容ではないです。

私はナオコーラさんの本を読む時に
期待することが2つあって、
「シャープな文章にやられたい」
「なんか、びっくりしたい」というやつなんですが
その2つをこれでもかってほど叶えてくれる内容でした。
短いエッセイだからこそ余計際立っていたかも。
シャープさもびっくりも。

また、「夫」がタイトルに来ているだけあって、
日常というテーマの中でも、
ナオコーラさんたち夫婦の姿がとっても印象に残りました。
やっぱこれくらいじゃないと夫婦エッセイって書けないな
と思った! 文章の力量的に!
だって夫がかっこいいとか、こんなことしてくれるとか、
ほとんど書かないで、仲良しだって伝えられるんだもの……。

「僕たちって仲良しだよね」「都大会レベルだよね」
と言っていたうちの夫も、この本を読んだ後
「準決勝で当たるな……」
と渋い顔で言ってました。
都内のどこで。仲良し夫婦選手権が行われているんだ。



長くなりましたが、以上、
2015年に私を楽しませてくれた「もの」の話でした。

いつも年末に語っていることが多い「音楽」がなー!
2015年はあんまり楽しめず残念でした。
FoZZtoneが活動休止してライブに行かなくなり
生活サイクル的に深夜ラジオも聴かなくなり……。
でも2016年は好きなミュージシャンの新作リリースが
色々ある予定なので楽しみにしたいです。

あー、でもそれ以上にぃぃ……。
「楽しませてもらう」だけじゃないことをもうちょっとしたいな(;▽;)
仕事……
お世話になるばっかりで、何も返せてないような気がすることもある。
夫に対しても、去年の年頭は「夫婦は与え合い」みたいなこと
ブログに書いていたわりに、
私がもらってばっかりじゃないだろうか? とよく思います。
そういう場所から一歩でも出られるようにしたい。
今年は。
by refri5erat0r | 2016-01-03 15:32 | 雑記
こんばんは豊島ミホです。
前に書いた記事が7月付なのに。夏が終わってしまった。
なのでトップ絵を変えました。
でも秋向けっていうよりは……
先月私の脳みそを占拠していた「歯を大事に!!」
というメッセージに満ち満ちた絵になってしまいました。

私の歯に起こった出来事は、
義理の親族のみなさまにご覧いただくこともある
このブログではとうてい詳述できません。
恥ずかしくて!
もうこの絵からすべてを想像して下さい。

この8月の事件によって、私は
10年以上毎日500mlほど飲み続けていた清涼飲料水をやめました。
やめよう。
あくまののみものです。
500とか飲んでるのがだめっていう話もあるけど。



ツイッターのほうで紹介しましたが、
最近こんなまんがを読みました。


こくごの時間 (A.L.C.DXもっと!)

雁須磨子 / 秋田書店




年季の入った雁ファンの私……
「こくご」と雁須磨子のコラボに
読む前からテンションぶっちぎりになりました。
言語表現ならば雁須磨子!
本もたくさん読んでそー(いやたくさんじゃないかもしれないけど、
純粋なる自分の好みに従ってどんな種類の本でも読んでそー)な
雁須磨子!

「こくごの時間」は、
国語の教科書に載った小説や詩歌などを
題材にとった短編集です。
取り上げられた作品は、


「十五の心」石川啄木
「くまの子ウーフ」神沢利子
「走れメロス」太宰治
「夕焼け」吉野弘
「言葉の力」大岡信
「小僧の神様」志賀直哉
「山月記」中島敦



ちょっと、いっこいっこ確認はしてないんですけど、
小・中・高全部入り……なラインナップですよね? たぶん。

それぞれの作品に「読み手」となる人物が入ることにより
また新しいまんが作品になっています。
(他に書きおろしである「少年の日の思い出」があり、
 それは例外的にコミカライズ作品。)

私は1本目の「十五の心」がすごく好き!

不来方のお城の草に寝ころびて
空に吸はれし
十五の心

この短歌1本の、解釈を描いたまんがなんですけど……
なんてんだろう、その歌が主人公の生活の中で
新しい意味を持ち立ち上がってくる瞬間?
が見事に描かれていて、
「そうなんだ!」
「そーゆーことか!」

って思いました。
なんか私ただ……学校さぼってる開放感、程度のものしか
この歌から読み取れていなかった。
でもまんがを通して、「吸はれ」る心が
具体的になって、感嘆しました。
ちょっとその辺の解釈は実際に読んでいただきたい。



まあそんなで、他の短編もよかったのですが、
「山月記」だけわりと……
「え、こんな話だっけ?」
って思ったんですよ。
「読んでこんな風に思うような話だっけ?」って。
まんがの中では、山月記の主人公に対して
登場人物たちの評価が結構厳しいんですよね!
(雁さん自身もあとがきで、
 自分に似たようなところがあるからだと思うけど、
 あと、この作品だけ大人になってから読んだからかもしれないけど
 李徴を冷たく見てしまった、と書いていらっしゃる)

え……私が教科書で読んだ時は……
「わかるわかる! 超わかる!! 
 私も虎になっちゃうかもしんない!!!」

くらい思ったんだけどな……!

と思って、ものすご〜く久々に、読み返してみました。
山月記。

そしたらば……

本当に 自分の中の「李徴に寄り添う成分」が
減ってるのがわかった。


高校生の時はもぉ 友達と
「なんでこんなうちらの気持ちわかんの中島敦!」
って盛り上がったのに(ほんとそれおぼえてる)
33歳になった今読むと、
「この人絶対詩人になれないわ」
っていうひややかな確信が湧いてくる。

虎になってからも、都のイケてる文化人の机の上に
自分の詩集が置かれているところを想像してしまうとか。
詩で何を伝えたいってことより、
自分が名を成したいってことに李徴の欲望の比重があるのがわかって
(中島敦が彼をそのように描き出そうとしているのがわかるので)、
ほんと心がひんやりするよ。。。

でもいっぽうで、前とまったく違うふうに読めたのが
袁傪と李徴の関係。
話の中で終始李徴に同情的な袁傪に対して、前は
「いい人キャラ……」
「それかまあお話的にこの人はこうでないとダメなのかな」
くらいにしか思ってなかった。
でも大人になってから読み返すと、
袁傪がいい人なのは確かだけどそれだけではなくて、
袁傪は李徴のことを好きだったんだろうな、って
脳内補足されるんですよ!

李徴はプライドばかりの人間だし詩人向きでもない。
でもそれイコール「誰からも好かれない」ではない。
心広く人望の厚い袁傪は、李徴のひねくれた部分に注目せずに
皮肉屋で面白いこと言うとか、なんか変わった雰囲気があるとか
そういうところをナチュラルに好きだったんだと思うなあ〜〜!!
だから忙しいのに詩をメモってあげるんですよ……。

これはもう読解ではなく想像の域の話ですが。
でも、そやって人生経験を元に想像する部分が増えていくっていうのも
再読の面白いところだと思います。

えーっと、教科書作品再読シリーズはもうすこし続きます。

下の記事につづく)
by refri5erat0r | 2015-09-07 19:20 | 読んだものの感想