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現ライター、豊島ミホのブログです。雑記帖ゆえ雑文が書かれていきます。カテゴリの「はじめに」も是非お読み下さいませ。


by 豊島ミホ
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ただ待っている時間


こんばんは。豊島ミホです。

井上荒野さんの『ズームーデイズ』(小学館文庫)を読んだよ。
なんか、長編恋愛小説読むぞモードになり。
再読です。前は08年11月、文庫化直後に読んでます
(このブログに感想はないけど日記に書いてあった)。

恋愛小説……恋愛「だけ」の小説って最近少ないよね?!
恋愛自慢エッセイが全然ないっていう泣き言を最近書いたけど
恋愛小説もやはし新刊としては見かけなくなっている感。。。

恋愛じゃない何か(事件とか試練とか)が起こって、
それを解決する過程でついでに胸キュンも起こってる! みたいな本はあるけど。
あとは自己実現的な。恋をする過程で大きな心の傷が癒える、みたいな
お話も多分あるかな。。。

でも私はマジに恋愛「だけ」のお話が読みたい。
恋にかまけ純粋に恋だけに終わる小説が読みたい。
乗り越えなくていい。選ばれなくていい。立ち向かわなくていい。
でも、心は荒波の中の航海士。みたいなやつ。

きっと『ズームーデイズ』はそうだった! 多分!
と思い出してもう1回買って読みましたよ……
ソッコーで読みたくなりすぎて在庫検索できる書店に買いに走ったよ。
Amazonプライムでも遅い! 今! みたいな気持ちで。

そしたらば超〜〜〜〜


面白かった!


一気読みしてしまいました。


物語は「ザ・恋愛小説」として始まります。
主人公は30歳(か、お話の冒頭ではその少し前)の女性。
2世小説家で肩書は「作家」、テレビに出たり雑誌記事書いたりしてるけど
本を何年も前に1冊出したきりで、最近ろくに小説は書いていない。
彼女が、テレビ局でアルバイトをしていた22歳のおしゃれ大学生と出会って
恋が始まります。(8つ下やで!)

このおしゃれ大学生(あだ名は「ズームー」)が
とりあえず、んめっっっちゃかわいい。
恋の始まりの、相手がキラキラしてしか見えない時期、
ただひたすらに楽しいだけの時間のかがやきがそのまま書いてあって
読んでるこっちも「ファア…… 好き……!」ってなる!!
ズームー、見た目はおしゃれでかわいいし都会人なんだけど
中身が怒涛にピュアなのもまた……!!

しかしソッコーで雲行きは怪しくなります。
このお話がそもそも回想形式で語られているため
始まってすぐに「終わり」は見えているんですよ。

 ズームーとは七年間暮らした。
 三十歳から三十七歳まで。バカで怠惰で可哀想で不可思議な日々。
(中略)
 七年間、私は何もしなかった。ただズームーと暮らしていた。ズームーは、あの日々そのものだったとも言える。
 <文庫版 p.4より>

 私たちは家具を買い、カーテン生地を買い、縫い、それぞれの(連名ではない)転居通知用の絵はがきを選び、文面を考えた。引っ越しの準備は――お金の工面さえ――忙しくも心浮き立つことであり、そのうきうきは、恋に似ていないこともなかった。だから私たちは七年の間に、しばしば引越しをした。
 <文庫版 p.17より>

恋に似ている「うきうき」を引越しで人工的に作り出さなければならない7年間。
それなのに他のことをなんにもしないで「ただズームーと暮らし」ているという7年間。
(言葉は失礼ですが)ろくでもないかほりがぷんぷん漂ってきますね!

そしてソッコーでときめき描写的なものはなくなっていきます……
途中で私は気付いた。
「これ恋愛小説じゃねえじゃん」ということに。
多分4分の1から3分の1くらいで気付いた。

そもそも主人公の「私」には、最初から他に恋人(妻子ある男)がいて、
その辛い恋(?)から逃れるためにズームーと「安らかな恋」をしようとしている。
そんな状況がゆるやかに解決していくでもなく、
どんどん悪くなっていきます。
恋人の態度は冷たくなる一方。一緒に住んだはいいけど金の尽きた
「私」とズームーはずるずると「私」の実家に寄生。
(なにしろお父さんが有名な作家なので実家に経済的ゆとりはある。)
実家に寄生するとやがてズームーは帰りが遅くなり、
「私」は相変わらずろくろく小説書かないまま
実家の母に対して仕事してるフリを続ける……。

ってほんとあらすじだけ抜き出すとくら〜い筋書きですけど、
これが読むと! 面白いんですよ〜〜〜〜「私」のダメぶりが!!!!
なんていうの。「ダメ」の書き方って色々あるけど
この作品中での書き方は決して自虐的でないし、
過剰な「どやこんなにダメですぞ」みたいな感じもしないし、
なんでしょうね?! どういう書き方で読み手がこういう感じ方になるのかわかんない!
ただひたすら「うひゃひゃ」って感じなの、読んでいる間!
親近感がわいてくる!

この小説って、
「うだつのあがらない日々のお話」
なんだ。
って途中でわかるのです。
ズームーデイズというのは、「めいっぱいの恋をした日々」とかじゃなくって、
もうどうしようもなく、「うだつがあがんなかった日々」のことなんだ、て。

巻末の解説で、角田光代さんがこう書いています。

 しかしこの小説は、ひとりの女性の愚かしさを描いた小説ではないし、自己コントロールのきかない恋愛を描いたものでもない、と私は思う。これは一見恋愛小説のようだけれど、そうではない、とすら思うのだ。
(中略)
 無為というものについて、この小説から突きつけられたような気がしたのである。何も作り出さないこと、決して前へ進まないこと、その場にうずくまること、目を閉じること。そのような状態に、私たちはどのくらい留まることができるのか。
 <文庫版 p.199-200>

「そうそう!」とうなずきました解説のこの部分読んで……。
正直自分が書いてもらった以外の解説で
ここまで「大事なことを言ってくれた!」みたいなやつ読んだことなかったっていうほど。。。
これ、「無為な時間」を書き残した小説なんですよne!!!(←ちかしい)

なおかつこの小説がすごいのは、
最後まで読んだ時に、その「無為な時間」を「無駄」とは思わなかったこと……。
これは個人的な読後感かもしれないけれど。
今、絶賛うだつのあがらねえタイムを過ごし中の私だから感じることかもしれないけどw
(も、ほんと主人公に対して「仲間感」しかなかった! さいごまで!
 いつの間にか働いてた時「うらぎりやがって!」くらいおもったwwww)
なんかそういう、「ただ待っている時間」? やりすごさなければいけない時って
あっても……しかたないと思う。
しかたないし、それを振り返った時に……なんていうの。
この話って、登場人物結構みんな最後までしょーもないんですけど
(主人公もズームーも妻子ある恋人もみんな)
それをどんな形であれ一緒に過ごしてくれた人に、
ありがとうって言いたくなるような。感傷を呼び起こさせる。
この無為な時間が「ないほうがよかった」とはね、言い切れないって気持ちになる。

究極、この主人公がこの無為な7年間なんて過ごさずにかんばれたか?
っていうと、私全然そー思わないし……。
いいじゃん。こんな7年、あってもいーじゃんって。
他人のことだししかも終わったことだから言えるのかもしれないけど
まあでも終わってしまったらほんとそう言っても差し支えないと思う……。

ちょっとこれは。
うだつのあがらねえ日々を過ごしている仲間(誰か知らないけど)には
読んで欲しいですね!!
まあ主人公は経済的にめっちゃ恵まれてるので
(家賃も入れず実家持ちのマンション住まい+文筆業で適当に小遣いは入るという環境)
現代の「うだつのあがらねえ人」からすると「おいおい優雅だな!」
「俺がそんな恵まれた環境にいたら真面目に仕事するけどな!」みたいな
ふーなこと 感じなくはないかもしれないけど……。
比較を持ち出さずに読める人にだったら おすすめしたいです!

この小説とは関係なく
「ただ待っている」能力って意外と大事かもなー
て感じること多いです。最近。
なにもせずに待つみたいなこと。
なんかしようなんとかしよう! って思っても
自分の力でなんともなんないときって。あると思うの。
そういう時にぐるぐる「問題解決問題解決!」って言って
自分を追い込むというのが私がさんっざんハマってきたパターンだな! って……。
感じるようになったよ。

そういうのと『ズームーデイズ』はぴったりはまって面白かったです。
ま、「ただ待っている」のもそれはそれでものすごくしんどい……
そのしんどさについてもしっかり言及してある小説なので
なおいっそうおすすめなんだよ。



by refri5erat0r | 2016-12-03 20:36 | 読んだものの感想

女がいなくなる時は

こんばんは豊島ミホです。

昨日夫に買い与えられた村上春樹の新しい文庫
『女のいない男たち』を、昨晩から今日昼にかけて読みました。

読書体験自体はやっぱり非常にスムーズで心地よく
作品に対しなんの文句もなかったんですけど、
タイミングの悪いことに、私はちょうど
「失恋について男が語っている対話」をほかの媒体で目にした後でして(それは確か月曜日の夜)、
それに対してはむっちゃ釈然としない気持ち……なんなら怒りを抱えていたので、
本を閉じた後15分くらいしてから、突然

ムラッ……

としてきた!
何か腹のなかに収まらない気持ちを感じた!


『女のいない男たち』は、男の失恋短編集なんですよ。
6作収録されてるんだけど、5本目を除いてすべての短編で
女が理由なく(※男目線では)男のもとを去っていく。
だから作品タイトルの「女のいない男たち」っていうのは
「女が不要な男たち」とか「女を獲得できない男たち」ってことじゃなく
「女に去られた男たち」という意味。
出てくる男たちは皆、一度は女と濃い関係を持った男ということになります。

しかもほとんどの話で、男側は女に対し強い気持ちを持っていて、
それにふさわしい丁重な扱いもしている。
そんな中で「なぜか」! 女がいなくなってしまう……

その「なぜか」! 感はラストに収録された表題作「女のいない男たち」で
わかりやすく強調されています。


 でもそれからエムは、いつの間にか姿を消してしまう。どこに行ってしまったのだろう? 僕はエムを見失う。何かがあって、少しよそ見をしていた隙に、彼女はどこかに立ち去ってしまう。さっきまでそこにいたのに、気がついたとき、彼女はもういない。たぶんどこかの小狡い船乗りに誘われて、マルセイユだか象牙海岸だかに連れていかれたのだろう。僕の失望は彼らが渡ったどんな海よりも深い。
 <文春文庫版 p.284-285より>

 でももちろん僕が再び彼女を失う時はやってきた。だって世界中の船乗りたちが彼女をつけ狙っているのだ。僕一人で護り切れるわけがない。誰だってちょっとくらい目を離すことはある。眠らなくてはならないし、洗面所にもいかなくてはならない。バスタブだって洗わなくてはならない。玉葱を刻んだり、インゲンのへたをとったりもする。車のタイヤの空気圧をチェックする必要もある。そのようにして僕らは離れ離れになった。というか、彼女が僕から去っていったのだ。そこにはもちろん水夫の確かな影がある。
  <同p.287-288より>



女は水夫のせいでいなくなるんじゃないっ……!!!



と私は思った。
読んでる時は思わなかったけど本を閉じて15分くらい後で強烈に思った。

当のお前以外を理由にしては絶対にいなくならないっっ……!!!!!!!!

って。


ここで話を「月曜日に目にした失恋男子の対話」のほうへ戻すと、
それは 30がらみのフラれたばかりの独身男性たちが、
なんでフラれたかの反省会をするっていうものだったんですよ。
その……恋愛の捉え方? みたいなものに触れて
私はひさびさに ひゃっ!!! ってなった!

なんていうんでしょうね。
付き合いたての蜜月の頃は別として(その話の中でも別だった)
結局のところ 男は女をどこかのタイミングでミッション化している。
「仕事」と並列の項目として「女」があるみたいな状態になる……

その話の中で、「彼女に対し〜〜しなきゃいけなくなる」
「が、俺は無理だった」みたいなことが
別れの理由として語られていたんですけど、
なんなのその……義務感……? 任務感……?
任務として捉えられた時点で 私だったら去る。ソクサる!!!!
(話の中の「彼女」も最終的に去っていったわけだが。)

なんかこれ ディティールが引っかかったとか そういうレベルの話じゃないんですよ。
30歳以上の女性たちに「わかるしょ?!」って泣きながら問いかけたい!!
男って! いつの間にか勝手に「俺バリヤー」の中に戻っていく!
ちょっと文章で伝えられる気しないんで図で描きますね、


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これ!!!


これなに?!!


なんかこぉ 相手の中に「概念化した女」としてしか存在しなくなる感じ!
リアルの私とは何も共有してもらってない感じ!
なんでこゆこと起きんの?!
(付き合う前からこういう感じの人すらいるよね?!
 そういう男は間違いなく美人に特攻するから私はまったく被害を受けてませんが)
(あ、あとこの文章すげえ怒ってますけど、あくまで思い出し怒りで
 夫には一切「俺バリヤー」に入る兆候がありません。
 交際から数えて2年以上経ってもずっと図1の状態です……イケメンすぎる)

まーとにかくこうなると 女側としては去りたくなる。
虚しい、自分のやってることが。
そしてこれで去られたほうは……
「俺バリヤー」の中に概念の彼女が存在しているのに
リアル彼女はいなくなっちゃうという「失恋」状態になる。
概念の彼女はそれなりに大事に思っていたわけだから
「僕は大事にしていたのに、どうしていなくなっちゃったんだ!」ってなる。


これ『女のいない男たち』と関係ないって?
そりゃーないかもしれないです……。
それぞれの短編で 女がなぜ去るのかという理由が描かれていない以上
理由について憶測であれこれ言っても仕方ない。
(1話目「ドライブ・マイ・カー」は妻が浮気した理由に
 ダイレクトに迫っていくので、仮説くらいは出る。
 そのせいか私は1話目がかなり好きです)
あと、上では他の女性に思いっきり共感を求めているけど、
実際には理由なく男のもとを去ってくタイプの女性も、いっぱいいるのかもしれない。
そういう女性が、『女のいない男たち』に描かれた「女」であるのかもしれない。

でもこーやってここで、ごく個人的な経験からしか言うことのできない
男と女の気持ちのすれ違いについてまくしたてたのは、
ネットでざっと検索かけて結果の上位を見た限り、
誰もこの本から受け取った気持ちについて書いていなかったからです。
「男の失恋」という普遍的な題材から、自分の経験のどこを掘り起こされたかを。

村上春樹の本の「感想」と題したものって、「評価」ばっかりだった。
高名で実力ある作家であればあるほど、「感想」じゃなくて「評価」を書かれてしまうのね。
しょっぺえ現実……。
まーもっとも作家に言葉を届けたい人のほんとの「感想」って
手紙で届いているものだから、村上氏を気の毒には思いませんけど。

ただ「この作品を通したみんなの失恋観が読みたいっっ!!!」
と思って検索かけた私が切なくなっただけ!
結構ねばったんですけど! 「女のいない男たち 俺も失恋」で検索するとかwww
これさ男の人共感したの?!
女の人素直に受け取れてんの?!
どうなの?!
文庫になったことだしライトな春樹読者のみんな「感想」を書こうぜーー\(^o^)/ (いざない)

ちなみに本の感想書く時たびにだいたい書いてるけど
私は「共感できる本がいい本」って思想の人じゃないんで。
反感を覚えたりこういうムラッとくる気持ちを覚えたりしても
それが不快なもの(不快な書き方?)でない限りは
逆にその気持ちが鮮やかであればあるほど「いい読書だった」と思うよ!
普段人と接していてもわからないような、物事の捉え方や感覚の違いを
うっすらとでもわかるようにしてくれるって、読書の効用ですよね。
だから『女のいない男たち』も好きか嫌いか訊かれたら余裕で好きだし
どれが一番おもしろかったかと言われると引用した表題作がおもしろかった。多分。
水夫のたとえはずっと忘れまいよ。



by refri5erat0r | 2016-10-13 01:58 | 読んだものの感想
こんばんは豊島ミホです。

今まではTwitterでお仕事告知していましたが、
Twitterをやめたので、ブログで。

「性の“いま”を知る」というコーナーでインタビューを担当した
『特選小説』11月号が発売になっています。
今回は、イラストレーター&ライターのいしいのりえさんに、
新刊『性を書く女たち』のお話をうかがいました。

性を書く女たち: インタビューと特選小説ガイド

いしい のりえ/青弓社


いしいさんといえば、小説誌のちょっとセクシーなお話に
スタイリッシュな挿画を描いていらっしゃるのをよくお見かけします。
が、この本はイラストの本ではなく、
官能小説の「レビュー&インタビュー本」
そして表紙のイラスト(もちろんいしいさん筆)からわかるように、
女性向けです。女性向けの、官能小説ガイドなのです。
丁寧かつ正確な筆致の小説レビューが、約60本も収録されています〜。

「官能小説ガイド」といっても、いわゆる官能レーベルの本だけではなくて
一般文芸、名作純文学なども結構含まれているので
「いわゆる『官能小説』じゃないけどしっかりエロい小説」が読みたい
という貴女に超おすすめ!
いっぽうで、「官能レーベルから出てるガチの官能小説」も
ちゃんと紹介されていますので、そっちを齧ってみたい人にもまた、おすすめ。です。

記事に書きましたが、私も色鉛筆片手に
読みたい本にチェック入れながら読んでいきました〜。
せっかくなのでそうして出会った本もここで紹介しちゃう!


団鬼六『不貞の季節』

じつは……じつはじつは……
私、団先生の本をここまで読まずに来たんです!
官能小説の大家オブ大家と存じ上げながら!!!
団作品=「しっかりと世界観を作り込んだ格調高いSM」というイメージを
漠然と持っていて、興味がないではないけれど、なんていうの。
フッツーの感性の持ち主である私に理解できるのかしら感があって。
なんとなく手を出せずにいました。

でもこの『不貞の季節』は、団先生自身が主人公の
「エセ私小説」? なので、
格調……とかっていうより、もうちょっと普段着の。
入っていきやすい設定なのですよ。

あらすじとしては、
作家として売れる前(売れていく頃、だっけ?)の団先生が、
妻に浮気され、その「不貞行為」の内容を
微に入り細に入り浮気相手の男から聞き出す! 
というお話です。
だから……「エロいことが主人公の目の前で行われるお話」じゃないんですよ。
ぜんぶ又聞きになってるの。
でもそれがすんんんんんんごいエロい!!!
こんなん読んだことない! っていうくらいエロかったですサイコー

やっぱり大家は大家なんだなと思いました。
まじでこれみんな読んだほうがいい。
いわゆるねとられものですけど、どんな性癖の人でも
なんかこう、身体にぽっとくるものあると思うよ。

中編集なので、表題作のほかにも収録作品あるんですが
私は表題作がだんとつ推しです。


そしてもう1冊、いしいさん紹介本から読んだのが

草凪優『悪い女』

悪い女 (実業之日本社文庫)

草凪 優/実業之日本社


いちおう……インタビュー材料でもあるのでw
いしいさんが個人的に好きそうな本をぜひ読んでいこうと思ったんです。
いしいさんのレビューはどれも筆が滑るところなく客観的で、
いい意味で思い入れの多寡が測りづらかったんですが、そんな中で
草凪さんのことだけは、「一番好き」とはっきり書いてありました。
それでこの本を選んでみた……のですが

読み始めて間もなく心がざわざわしだした!
面白すぎて!!!

草凪さんの短編は「特選小説」などで何度か拝見していたし
楽しんでいたんですけど、長編を読むのは初めてでした。
というか、私官能の長編を一気読みするのが初めてだな。
(連載でちびちび追ってることはあったけど)

あんまり読まないで解説するのもなんですけど、
多分、官能の長編って、他のエンタメ長編と違って、
どうしてもかなり「連作短編」に近い形にせざるをえないんですね。
なぜなら読者は最低でも40〜50枚につき1回は興奮したいから!
最後の山場に向けてゆっくりと盛り上がるなんてことはしていられない!
ようは官能小説は「ほんとは短編しかありえない」ジャンルなのですyo。

しかも、同じ登場人物の性行為を繰り返し読んでも飽きるので
普通はひとつの「短編」ごとにキャラも交替しないといけないw
主人公が、違う相手と5、6回の性行為をすることで
1本の「長編」が成り立つっていう形が基本になってる……のだと思います。
全部そうだかは知らないけど睦月影郎先生の『欲情の文法』には
そんなことが書いてあった。たしか。

で、確かに『悪い女』も、この「官能長編の基本フォーマット」に収まってる。
主人公の女性が、違う男とセックスを繰り返す連作短編、的長編になってる。
なんだけどその「フォーマット」をまったく感じさせないの!!!
「フォーマット」であるはずのものが、長編物語のための必然になってる……!!


ぎゃーーーー!!!!!


っておもったよね。
だいたい、これ、超ピュアな恋愛小説なんですよ!
「違う男とセックスを繰り返」しているのにw
私も「この物語は官能小説のフォーマットがどうちゃらこうちゃら!」とか
考えながら話を読んでたわけではなくて、途中からはもう没入よ。ぼつにゅう!!
別に私こんな恋愛してないけど、没入しすぎて
「ボケた時老人ホームでこの話を若き日の記憶として語りだすなおれ」
って思った。まじで。
それくらい入り込んだ。
読んでるあいだじゅう動悸が止まらなかった。

草凪優さんは、男性なんですが
女性主人公のやってること考えてることに嘘っぽさが全然ないしね……。
なんだろうこれ。この小説。
なんなんだろうまじで!!!

表紙から分類すれば、がっつりのほうの官能小説なんですけど
電子書籍でさくっと買えるので、いろんな人に読んでほしいです。。。
自分が読者だったらネタバレしてほしくない系の話なので
あらすじはずばっと割愛! もう買っちゃって欲しい……!


で、やっと話を戻すと、こんな貴重な出会いをくれた
『性を書く女たち』でした……ありがとうございます!(いしいさんに)
ほんと、「今読める官能(的な)小説」の幅広いガイドなので、
興味ある方はぜひぜひぜひ。

「女たち」というタイトルなのにここに引いたのが
男性作家さんの作品になってしまったは申し訳ないんですがw
女性作家さんの作品でチェック入れてるものもあるので、
これから読みます。

あ、「女たち」なのは、インタビュー部分が
女性作家さんメインだからですよー。
このインタビュー、雑誌に載ってるような新刊インタビューよりは
長めなので、他ではなかなか読めない赤裸々な話が揃っていました……。
「R-18文学賞」メンバーでは、南綾子さんが登場しています。


話はがらっと変わりますが、もうひとつ仕事の告知を。
長らく担当させていただいた『別冊マーガレット』の「まんが家さんに会いたい!」が
先月発売の9月号をもって最終回を迎えました。
なんと総勢11名! の連載作家さんにお話をうかがうことができました。
楽しかった……! し、まんが家じゃないけど本当勉強になりました!

そのうち振り返っての感想もブログに書きたいなぁー
と思ってはいますが、とりあえず今日はご挨拶まで。
今までの担当さま、おつきあいして下さった読者のみなさま、
そしてお忙しい中私のしつこい質問に答えてくださったまんが家の先生がた!
どうもありがとうございました。


by refri5erat0r | 2016-09-26 20:37 | 告知
こんばんは豊島ミホです。
前に書いた記事が7月付なのに。夏が終わってしまった。
なのでトップ絵を変えました。
でも秋向けっていうよりは……
先月私の脳みそを占拠していた「歯を大事に!!」
というメッセージに満ち満ちた絵になってしまいました。

私の歯に起こった出来事は、
義理の親族のみなさまにご覧いただくこともある
このブログではとうてい詳述できません。
恥ずかしくて!
もうこの絵からすべてを想像して下さい。

この8月の事件によって、私は
10年以上毎日500mlほど飲み続けていた清涼飲料水をやめました。
やめよう。
あくまののみものです。
500とか飲んでるのがだめっていう話もあるけど。



ツイッターのほうで紹介しましたが、
最近こんなまんがを読みました。


こくごの時間 (A.L.C.DXもっと!)

雁須磨子 / 秋田書店




年季の入った雁ファンの私……
「こくご」と雁須磨子のコラボに
読む前からテンションぶっちぎりになりました。
言語表現ならば雁須磨子!
本もたくさん読んでそー(いやたくさんじゃないかもしれないけど、
純粋なる自分の好みに従ってどんな種類の本でも読んでそー)な
雁須磨子!

「こくごの時間」は、
国語の教科書に載った小説や詩歌などを
題材にとった短編集です。
取り上げられた作品は、


「十五の心」石川啄木
「くまの子ウーフ」神沢利子
「走れメロス」太宰治
「夕焼け」吉野弘
「言葉の力」大岡信
「小僧の神様」志賀直哉
「山月記」中島敦



ちょっと、いっこいっこ確認はしてないんですけど、
小・中・高全部入り……なラインナップですよね? たぶん。

それぞれの作品に「読み手」となる人物が入ることにより
また新しいまんが作品になっています。
(他に書きおろしである「少年の日の思い出」があり、
 それは例外的にコミカライズ作品。)

私は1本目の「十五の心」がすごく好き!

不来方のお城の草に寝ころびて
空に吸はれし
十五の心

この短歌1本の、解釈を描いたまんがなんですけど……
なんてんだろう、その歌が主人公の生活の中で
新しい意味を持ち立ち上がってくる瞬間?
が見事に描かれていて、
「そうなんだ!」
「そーゆーことか!」

って思いました。
なんか私ただ……学校さぼってる開放感、程度のものしか
この歌から読み取れていなかった。
でもまんがを通して、「吸はれ」る心が
具体的になって、感嘆しました。
ちょっとその辺の解釈は実際に読んでいただきたい。



まあそんなで、他の短編もよかったのですが、
「山月記」だけわりと……
「え、こんな話だっけ?」
って思ったんですよ。
「読んでこんな風に思うような話だっけ?」って。
まんがの中では、山月記の主人公に対して
登場人物たちの評価が結構厳しいんですよね!
(雁さん自身もあとがきで、
 自分に似たようなところがあるからだと思うけど、
 あと、この作品だけ大人になってから読んだからかもしれないけど
 李徴を冷たく見てしまった、と書いていらっしゃる)

え……私が教科書で読んだ時は……
「わかるわかる! 超わかる!! 
 私も虎になっちゃうかもしんない!!!」

くらい思ったんだけどな……!

と思って、ものすご〜く久々に、読み返してみました。
山月記。

そしたらば……

本当に 自分の中の「李徴に寄り添う成分」が
減ってるのがわかった。


高校生の時はもぉ 友達と
「なんでこんなうちらの気持ちわかんの中島敦!」
って盛り上がったのに(ほんとそれおぼえてる)
33歳になった今読むと、
「この人絶対詩人になれないわ」
っていうひややかな確信が湧いてくる。

虎になってからも、都のイケてる文化人の机の上に
自分の詩集が置かれているところを想像してしまうとか。
詩で何を伝えたいってことより、
自分が名を成したいってことに李徴の欲望の比重があるのがわかって
(中島敦が彼をそのように描き出そうとしているのがわかるので)、
ほんと心がひんやりするよ。。。

でもいっぽうで、前とまったく違うふうに読めたのが
袁傪と李徴の関係。
話の中で終始李徴に同情的な袁傪に対して、前は
「いい人キャラ……」
「それかまあお話的にこの人はこうでないとダメなのかな」
くらいにしか思ってなかった。
でも大人になってから読み返すと、
袁傪がいい人なのは確かだけどそれだけではなくて、
袁傪は李徴のことを好きだったんだろうな、って
脳内補足されるんですよ!

李徴はプライドばかりの人間だし詩人向きでもない。
でもそれイコール「誰からも好かれない」ではない。
心広く人望の厚い袁傪は、李徴のひねくれた部分に注目せずに
皮肉屋で面白いこと言うとか、なんか変わった雰囲気があるとか
そういうところをナチュラルに好きだったんだと思うなあ〜〜!!
だから忙しいのに詩をメモってあげるんですよ……。

これはもう読解ではなく想像の域の話ですが。
でも、そやって人生経験を元に想像する部分が増えていくっていうのも
再読の面白いところだと思います。

えーっと、教科書作品再読シリーズはもうすこし続きます。

下の記事につづく)
by refri5erat0r | 2015-09-07 19:20 | 読んだものの感想
上の記事から続いています)

ところで国語の教科書掲載作品といえば、
私の世代だと外せない作品がありますよね。


「赤い実はじけた」!


初恋の生まれる瞬間を描いた短編なんだけど、
そんなのが5年だか6年の教科書に載っていて、
男女混じって激論をかわさなければいけないという……
(あ、激論させる先生は6年の担任だったから、
 6年の掲載作だわ)
ある意味トラウマもんの作品!!!

冒頭で、年上のいとこの女の子に、
「あなたもいつか赤い実がはじけると思うわ。」
みたいに予言されるところとかww
そしてそれがよりにもよって、
主人公が苦手なタイプの男の子の前で起こってしまうところとか。
甘酸っぱい要素が多すぎるんですよ。
朗読だけで赤面する!

ネット時代になってから、この作品のことを調べたら
作者である名木田恵子さんが
『キャンディキャンディ』原作者の水木杏子さんと
同一人物だとわかってびっくりしたりもしました。
そりゃー面白かっただろうよ……。

でも、いつかの年に教科書を捨ててしまって
(国語の教科書は好きで結構長い間保存していました)
読み返す機会はずっとありませんでした。

『こくごの時間』を読んだあと、ふと、
「再読してみたい!!」と思い、検索!
この本にたどり着きました。


赤い実 はじけた

名木田 恵子 / PHP研究所




そしてもう一度読んでみたらば……

あれ……どこで赤面するんだろう……
この後もっと恥ずかしい展開が……
そう恥ずかしすぎて身体中かゆいような展開が……


……



なかった!!!



衝撃でした……。
こ、こんなささやかで可愛らしいお話について
赤面しながら討論していたなんて……。
思ったよりずっとウブだったわたし
そしてウブだった(多分)同級生のみなさんを
遠い目で振り返ることになりました。

あと哲夫(主人公が好きになる同級生の男子)も
思い出よりすごいはつらつとしてて健全ないい子で
びっくりしました……。
もうちょっと粗野で男の子っぽい感じだと思ってた。
当時リアルで好きだった子と重ねて
そっちに寄せてしまったんですね。きっと。
何も似ていないよ。

あ、上の本、Kindleだと試し読みだけで
「赤い実はじけた」は全部読めるや。
短編集で1本めなので。お気軽にどうぞ。
挿絵がかわいい。



まあそんなんで長くなってしまいましたが
教科書掲載作品の旅について、でした。

関連だとだいぶ前にこんな本も読んだ


([さ]5-1)教科書に載った小説 (ポプラ文庫 日本文学)

佐藤 雅彦 / ポプラ社




けど、これはすんごく世代が隔たってて、
あと、通好みすぎて
いまだによくわかんない感じのものが多かった。
菊池寛の「形」はすっごく面白かったです。
語りのリズムも話の終わりかたもかっこよかった。
by refri5erat0r | 2015-09-07 19:09 | 読んだものの感想
先月ここで感想を書いた坂崎千春さんの『片想いさん』で、
紹介されていた本をちょっと読んでいます。まだ2作目だけど。
1作目もすごーーーーく面白かったんだけど、諸事情によりないしょ!
2作目は江國香織さんの『神様のボート』になりました。
これは『片想いさん』で読んだからというより、
たまたま夫にすすめてもらった本だったからなんですが。


神様のボート (新潮文庫)

江國 香織 / 新潮社



この物語は、葉子、草子という母娘ふたりの視点で描かれています。
葉子がお母さん。ピアノの教師(昼)&ホステス(夜)で生計を立てている。
草子が娘。物語が始まる時は小学2年生。
ふたりとともに、見えない3人目の家族である草子の父もいます。
名前も出てこないけど、ふたりにとっては決定的な人物。
草子にとっては「パパ」。葉子にとっては「あのひと」。
葉子と「あのひと」は「骨ごととけるような恋」を経験した。
そして彼はなんらかの事情で、
草子が生まれる前に葉子のもとを去っている。
「かならず戻ってくる。そうして俺は葉子ちゃんを探しだす。
 どこにいても」 
という、約束を残して。

端的に言ってしまうなら葉子はシングルマザー、
草子はそのひとり娘、ということになります。
とはいえ葉子にはまったく「シングル」感がない。
どこにいても「あのひと」のことを考え――
次の瞬間にも再会できるのではないかと考えて、
娘には堂々と「パパ」との恋や彼の美点を語ってきかせ、
娘の背骨が「パパ」に似ていると絶賛する。
そしてまた娘の草子も、母のつくった物語の中を生きている。
ふたりは「パパ」のバースデイを毎年祝いさえし、
クリスマスには「もしもパパが(今ここに)いてくれたら」ということを
すごく気分よく話し合ったりする。

まあこれだけでも相当変わった話ですが、
この母娘にはなお変わった事情があります。
それは、「旅がらす」生活をしていること。
関東地方の、微妙に辺鄙だけどそこそこ開けた街から街へ
1、2年程度で移動しながら生活しています。
それは葉子が、「どこかに馴染んでしまったら、
もうあのひとに会えない気がする」から。



私が江國香織さんの小説を読むのは――
短編なら近年拾い読みもしたかもしれないけど、
がっつりと長編小説を読むのは――
もう14年とか15年とか、それくらいぶりです。

『神様のボート』がすごいよかったから逆に言ってしまうと、
なんかこう、江國さんの描く人の
フワッフワフワッフワした感じがあんまり趣味じゃなかった。
(自分の趣味じゃない、っていうだけで、
 ある人にとっては魅力ある「感じ」だっていうのはわかるけど。)
で、この話も私の中の江國作品のイメージから
冒頭では大きく外れることなくフワッフワフワッフワしてました。
お母さん(葉子)は海にスカートで行って何時間も散歩しているし、
仕事の内容がよくわかんないし。
娘(草子)は引っ越し魔のオカンに逆らえないし。

フワッフワやわ……。
とは思ったけど、昔のイメージ(私が勝手につくった苦手意識)
と違って、そういうフワフワ描写も読んでて面白かった。
なんだろ。私も落ち着いたのかしら。
それともやっと文章のよさがわかるようになったのかしら。



で、草子の学年が上がっていっても、まだまだ話がフワフワしてるので
いったいこの話はどうなるのだろうか、と読者の大半がする(であろう)ように
やっぱり私も考えてみました。

1:このままずっとふたりでフワフワ生きてく(ありそう)
2:「あのひと=パパ」と再会するが、彼にはもう他の家族がいる
3:「あのひと=パパ」はとっくに死んでいる
4:「あのひと=パパ」なんて最初からいなくて全部葉子の妄想



……。
2は江國香織ぽくない……(←14、5年読んでないくせに)
3もちょっとぽくない……。
4はおおいにありそうだが……



やっぱり1かな。



くらいに思っていたのですが、この物語はしっかり展開するんです!
展開する前も楽しんでたけど、展開してからが俄然! 目が離せない!

んーネタバレー……
どこまでネタバレしていいものかわからないんですけどもー。
私だったらその「展開」がなんなのか黙ってて欲しい。
から言わないでおこうかな?

なので個人的結論だけ言ってしまうと、
この物語が何の物語だったか? と訊かれたら
私はやっぱり恋物語だって答えるかな!

ちょっと、タイトルに関わる部分を引用します。

――どうしてこんなに引越しばかりするの?
(中略)
――どうして?
 仕方なくもう一度訊いた。
――どうして引越しばかりなの?
 ママはあたしの髪に何度も唇をつけながら、
――ママも草子も、神様のボートにのってしまったから。
 と言ったのだった。
――神様のボート?
 訊き返したけれど、それ以上の説明はしてくれなかった。
――そう、神様のボート。
 そう言ってあたしを膝からおろし、この話はそれでおしまいになった。

(p.41-42、草子の語り)


神様のボート、なんてうまいこと、
どうやってこのお母さんが思いついたかは作中に出てこないんですけど
決定的な恋っていうのは、神様のボートな感じがする。
人に実際の行動を起こさせる恋は、
すっと静かに水面に出されて、
オールを漕ごうが何しようが行き着く先を変えられない
(でもそこに乗ってるひとはまあオールを自力で漕ごうなんて思わない)
神様の「所持物である」ボートのような、感じがする。
この物語は、その「ボート」の、
こわさと神々しさを描いた話なんだな、と思った。
思いました!



……で、私はいいんですけど。
だから272ページでこの本が終わっててもなんとも思わないんですけど。
ちょっとここからは結末の解釈の話なんで
すでに読んだひとだけ続きをどうぞ!(たいした話でもないけど)

つづき
by refri5erat0r | 2015-06-10 13:24 | 読んだものの感想
こんにちは。豊島ミホです。
「もう更新しないのかと思った」とか実家の母に言われています。

文芸あねもね公式ブログで告知しましたが、
田中敦子さん&井上喜久子さんが先頭きって進めて下さっている
チャリティー朗読企画「文芸あねもねR」にて、
とうとう私の「真智の火のゆくえ」を音源化していただきました! 
わーわーヽ( ´ ∀ ` )ノ

収録の時もちょっと書いたのですが、
メイン朗読を浅野真澄さんが担当して下さっています☆
台詞読みで、細谷佳正さん、中原麻衣さん、坂巻学さん、木島隆一さんも
ご出演して下さいました。
音源の素晴らしさはあねもねブログのほう
色々書きましたので、ぜひ読んでみて下さい。

ちなみにその記事にてイベントの告知もしたのですが……
気付いたらチケットが売り切れていて、
こちらで宣伝する機会は完全に逸しました\(^o^)/
ごめんなさい\(^o^)/

なのでこの記事ではせめて音源の宣伝をしようと思います。。。



朗読していただくにあって全面改稿した、ということも
あねもねブログのほうには書いてきたのですが、
要するにだいぶ……おんびんにした。色々おんびんにした。
つもりだったんです。

もう時間が経ったのでちょくせつ言っちゃいますけども
「真智の火のゆくえ」はもー
私の話、私そのものの話。みたいな感じなのです。
色々ディティールを変えてはいるけれども
あそこに書いた行き詰まりは私の、作家時代の行き詰まりそのもので。
小説をやめた私の話 が、そのまんま
絵をやめる美大生の女の子の話 になってるだけです。

だから2011年の、初稿の時点ではまだなんか色々生々しくて、
主人公の真智ははんぱなく根性悪いし、恋人の将也も鬼だし……
っていう感じだったんですが、それを2013年時点で
「ちょっとやわらかくすんべ!」と書き直したのが
朗読版の原稿なのです。

で、それをまた時間を置いて2015年の先日聴いてみたらば

きついwwwww
まだ全然きついwwww

ほんとこれ、浅野さんが読んでくれたからよかったけど……!
真智という子を、いいさじ加減の「不機嫌ガール」にして下さってる神読みなんですけど、
入ってる思想がきついってことが、書いた人=私にはわかる……。
まあその思想が最後には転換するっていう話ではあるんですけど
(だから自分にとっては大事な話に変わりないんだけど)
声と読みの心地よさに助けられなければ
「最後」までついてきてくれる人があんまいないかも?? とすら思いました。
(ついてきてくれる人にはもちろんありがとうって言いたいですけど!)
ほんと、朗読でよかった……声優さんに読んでいただくという形で
新しい機会をもらってよかった! と思います。

あとはごくごく個人的なことですけど……
私はやめてから結構長いこと、作家時代を
冷静に振り返ることができなかったんです。
3年とか、結構長い間?
「不機嫌」がまだまだ余裕で心の中でくすぶってて
思い出した瞬間にゴーーーーッて火が出るみたいな。
そんな、明確な対象を持って怒ったり恨んだりしてるわけじゃないのに
メチャクチャ不機嫌だったことを いつでも思い出せる感じでした。
「真智〜」の初稿を書いた時も。

でも多分 朗読用の原稿を書いた時点で
ちょっとはそういうのを対象化してみようと試みたし
今こうやって 耳から聴いてみてまた、
「あーこんな感じだったんだなあ」って……
適切な距離を取って当時のことを振り返ることができて。
なんかよかったなって思います。
もうゴーーーーッってなんないことを確認できたというか。
自分が間違っていた様々のことを振り返ることができるというかw

「真智の火のゆくえ」は、だから、
お守りみたいにずっと持っていようと思うんです。
改稿バージョンは私も紙では持ってないわけなので、
この「あねもねR」音源で。

……っていう壮大な前フリでの宣伝でした☆
私、宣伝って最初に言ってますんで。。。

現在は「真智の火のゆくえ」はDL販売のみで、
オーディオブックのFeBeさんで買えます。
収録時間2時間超で税込540円というちょっと信じがたいおねだん!
あねもねRの作品一覧はこちらです〜☆

チャリティーですので、販売手数料を引いた額が
東日本大震災義援金として寄付されます。
お気軽な寄付方法のひとつとして、みなさまぜひご検討下さいませ!
by refri5erat0r | 2015-02-26 16:40 | 告知
こんばんは、豊島ミホです。
最近立て続けに、過去作(小説)の電子版リリースをお知らせしていますが、
今日もそれです。

双葉文庫『エバーグリーン』

エバーグリーン 双葉文庫

豊島ミホ / 双葉社


ここでのお知らせはちょっと遅くなってしまいましたが、
先月下旬から電子書籍として販売していただいてます!
(リンク先はKindleですが他電子書店さんでの扱いもアリ)
大好きな谷川史子先生に表紙イラストを描いていただいた
思い出の1冊!
同じ表紙で出していただくことになり、嬉しいです。
双葉社さま、電子化ありがとうございました!



電子化時恒例、作品紹介&こぼれ話行きます〜

『エバーグリーン』は私の作家時代でゆいいつの! 
書き下ろし長編です。
『檸檬のころ』を読んだ双葉社の編集さんから、
ぜひ長編を、書き下ろしで、とご依頼いただいたのでした。

しかし私はドケチなので、とうぜん
書き下ろしよりは雑誌掲載のほうが好きです……
原稿料がもらえるからです
(雑誌に載らないものには1枚当たりの原稿料が発生しない
 =いただけるのは印税オンリー!)。

そんな私が書き下ろしを受けたのは、
担当さんの「お願い」の仕方が上手だったからです。

「ぜひウチで長編を! 他に連作短編も並行で
 (雑誌に)連載お願いします!」

……要するに抱き合わせだったんですね〜〜〜〜〜〜〜
私こういうのにめっちゃ弱いです!!
「どうしても欲しいもの」と「特に欲しいわけでないもの」を
抱き合わせで持ってこられると、判断力が鈍るんですよね。。。
そして若い私はやっぱり……
「いきなり並行で仕事依頼!」っていうのに
プライドをくすぐられ……
「やりますっ!」と二つ返事してしまったわけです。ええ。
長編の書き下ろしなんて想像もつかない大変な仕事に対して。

今思い返すと、そんな担当さんの手腕に脱帽です。
この手法はずっとおぼえておいていつか活用したいです。何かに。



全然中身に触れてないねこれ。
でもエバーグリーンについては既にいっぱい語ってる! からいい!

過去記事
文庫版『エバーグリーン』について・上
文庫版『エバーグリーン』について・下
単行本刊行時の新刊情報
あらすじは「文庫版」のほうにあります。

今になって読むと、単行本刊行時の思い入れが深すぎて……(;▽;)
なんかすごいなと思います。。。

って書いちゃうと遠い本みたいでごめんだわ。
そういうわけでもなくって、今もある意味特別な本だとは思うのです。
なんか……仮にブログを10年続けたご褒美が何かあるとしたら
(仮にっていうかそんな前提有り得ないけどwww 
 誰がくれる前提なのかよくわかんない)
エバーグリーンの別エンドver.が書ける! のがいいなー!
って夏頃思ってたくらいなので。
別エンドが何なのか、読んだ方にはご想像がつくかと思うんですがww
今の私ならきっとそういう話にすると思います。

って締めちゃうと、ぼやかしすぎだな……

現実は物語のようにはいかないから、
私は現実で有り得るベストみたいな話を書きたいって
昔は思ってたけど
きっと今ならフツーに
物語のような物語を書くだろうな〜 って ことです。

ま、でもその時はその時なりのエンドで
もちろんよかったと思うんですけど。

書いてたのは2005年だから、もう9年も前の話なんですね!
そりゃ色々変わりますね!!
まあその歳なりの考えがあって、仕事があって
別エンドっていうのはあくまで私の想像の中の話でいいんだと思います。
今は今の仕事があるからね( ´ v ` )
by refri5erat0r | 2014-11-10 20:51 | 告知
ご無沙汰しております。豊島ミホです。
また既刊の電子書籍化を進めていただいたので、ご報告☆

『神田川デイズ』

神田川デイズ (角川文庫)

豊島 ミホ / KADOKAWA / 角川書店


『初恋素描帖』

初恋素描帖 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

豊島 ミホ / KADOKAWA / メディアファクトリー


『やさぐれるには、まだ早い!』

やさぐれるには、まだ早い! (MF文庫ダ・ヴィンチ)

豊島 ミホ / KADOKAWA / メディアファクトリー


上記3冊が、新しく電子書籍になりました。
もう発売中です!
上のリンクはKindleに貼っていますが、
他の電子書店さんでも販売されているはずなので、
お気に入りがある方はそちらでチェックしてみて下さい。



文庫化から間が空いている本もあるので、改めて軽く全作紹介+雑談します。

『神田川デイズ』(角川文庫)

都内の私立大学が舞台の連作短編集。私がよくやる、全話の登場人物がつながってて、なおかつ1冊読むと1年が経過しているという構成の本です。しょぼーい文系大学生が活躍したりしなかったりします。
なんか……サークルの描写をがんばったなーという記憶があります。「インカレのオールラウンドサークル」「左翼活動サークル」「映画制作サークル」と3つのサークルが出てくるんですよね。オールラウンド以外はそれっぽく書けてると褒めていただいたことがあります。オールラウンドは再現できてなかったかもしれませんwww
どの話でも主人公にならないけど実質1冊通しての裏主人公がいて、その子のことが私はすごく好きです。でもこの頃は、「夢は叶わない」「叶わないまま生きていくにはどうすれば」みたいな思想が強すぎたかなーという反省点もあったりして(その思想がその女の子に反映されている)、むーん……。ポジティブな人の心には響かないかもしれない。「今、俺、ネガティブ!」っていう若い人の心を楽にできたら嬉しいです。
すごいどうでもいいけど5話目の角田という人は4年の時とっていた中国語で一緒だった男子を元に書きました。本当にああいう人でしたが本当はこわかった。です。

『初恋素描帖』(MF文庫ダ・ヴィンチ)

こちらは中学の1教室が舞台の連作掌編集。掌編というのはいわゆる「ショートショート」のことで、この作品では1話が400字詰め原稿用紙5枚でした。同じクラスの中学2年生20人の想いがひしめき合う心象スケッチ集! みたいな体になっています。1話単体で読むというよりは全体で見てやっと意味がある……「ここで出てくるこの人がこの人かー」的に読んでいただきたかったので、浅野いにおさんのイラストのお力をお借りしました。登場人物20人全員を、各話の見出しに描いていただいたのです! つまり、「イラストのイメージを借りちゃう」という小説としてはほぼ禁じ手を使っちまった作品です。(このイラストがどれほどすばらしかったかは過去記事に書いたので割愛……)
電子にするにあたって、イラスト再録とか……多分無理なんだろうなーとテンション低くなっていたのですが、なんと再録していただけた&ちゃんと電子書籍で無理なくレイアウトされている! のでとても嬉しいです。目次やら恋の鳥瞰図やら、特殊レイアウトだったページも残っているので、堂々と電子版もオススメできまっす。

『やさぐれるには、まだ早い!』(MF文庫ダ・ヴィンチ)

「R25」の姉妹紙として存在したフリーペーパー「L25」で連載させていただいた同名エッセイをまとめた本です。私のエッセイはこれと『底辺女子高生』の2冊しかないので、これが大人になってからの生活を描いた唯一のエッセイ本ということになります。
作家生活後期の連載なので、ちょっと力ない雰囲気かもしれません。。。ほぼ時系列で収録しているので、前半のテンションが後半でドーッと下がって行くのが目に見える。。。あとがきにも「この本に私の思い出きろく以上の価値はあるのか」みたいな不安を書き記してしまっております(泣) でもこう……力まないエッセイが好きというマイノリティの方には……楽しんでいただけるのかなと……。説教も自虐的分析も皮肉もなんもない、ただ若干赤裸々めなだけの日常エッセイです。
この本にまつわるどうでもいい余談は、実家で出戻り生活をしている初期、祖母から「もう、やさぐれた」と(作家を辞めたことを)茶化されまくったことでしょうか……。
_人人人人_
> ひどい <
 ̄^Y^Y^Y^ ̄



以上3冊、試し読みでも結構読めるので、よかったらお気軽にめくってみて下さい!

そして最後になりましたが、今回の解説ありの2冊は、
電子版でもそのまま解説を掲載していただいています。
『神田川デイズ』は三崎亜記さん、
『やさぐれるには、まだ早い』は山本文緒さん、
おふたかたの丁寧&熱すぎる解説がこの先も
みなさまに読んでいただけることになって大変嬉しいです!

電子は絶版が……ないとは言い切れませんが、
紙の書籍よりは長く売っていただけるはずなので、
みなさまどうぞ末永くよろしくお願いいたします。

例によって紙もまだあるけどね! 紙で欲しい人は本気入手お願いします!

今回の電子書籍化を進行していただいた
KADOKAWA の角川書店さま、メディアファクトリーさま、
ありがとうございました!
既刊の電子化はあと3作……かな?
もうちょい続きますー
by refri5erat0r | 2014-09-30 15:25 | 告知
祥伝社文庫から発売中の『夏が僕を抱く』
電子化していただきましたー!
ぱちぱちぱち

夏が僕を抱く (祥伝社文庫)

豊島ミホ / 祥伝社


ポッドキャストの第1回で私が
「自分の著作の中で一番高い点数つけるなら〜」って
口を滑らせてたやつです。
(終わりのほう、南さんの『すべてわたしがやりました』
 宣伝したコーナーの流れでそういう話になってます。)
でもポッドキャストの収録は5月上旬、電子化の契約が先月なので
何ら相関関係はありません……。ステマじゃありません。

この本の詳しい話は文庫化の時の記事でー。
約2年前の記事ですが、この時点でもう「俺が好きな俺の本」具合が出てるな。
出まくっちゃってんな。
でも電子化にあたってこの間もう1回最初から最後まで読んでしまいました。
自分の本なのにもう何回読んだかわからない。バカなのでしょうか。
憧れを詰め込んで楽しく書いたところのほか、
「6篇全部だいたいハッピーエンド」っていうところも好きなんだと思う。
なんかこう……「私の好きな増刊の読み切り少女まんが」みたいな話。全部。
書いた時はそんなん思ってなかったけど、今読み返すとそうです。
(あ、でもエロ成分はあるけど。かなりエロ成分高めの話もありますわすみません)



しかし電子化にあたって残念なこともひとつありまして、
それは……せっかく綿矢りささんに書いていただいた解説が
電子版には載らない! ということです。

これ、残念すぎますよね。。。
でも電書って現状こうらしいです。
電子化がヤな作家さんもまだ多いからか、過去作と新刊を
並行して電子化している超絶契約事務繁忙期だからか、
解説書いて下さった方にまで電書化の可否を訊く余裕がない。
ので、一律掲載しない方向……であるもよう……。
(あまり自分で自分の電子書籍買わないので、今まで気が付きませんでした。
 今回初めて「解説は載らないよ」と前もって教えていただけました。)
逆に、私が解説を書いた文庫でも、電子化の時に
連絡なく解説だけ落とされているのかな……。
それくらいだったら謝礼も契約書も連絡も
何もいらないからそのまま載せてほしいと思っちゃいますが
(文庫解説の対価って、そもそも印税じゃなく謝礼という形でいただいてるし)。
まあ契約事務の方が、祥伝社さんにかぎらず業界全体で
大変お忙しいのもわかるので、みなさまご了承下さい。

ちなみに私の「文庫版あとがき」も解説と関連していたので
全部落としました! ここは私の判断。
軽いエッセイくらいの分量があるあとがきだったんですけど。
綿矢さんの解説がなくなるんだったらまあいいやって感じで。
解説とあとがきを読みたい方はなんとしても紙の本をゲットしてね!
何回も書いてますけど、世の中もう買いたい本はすぐ買わないと消えますからね!



綿矢さんの解説では、4編目の岬(という男子)のスメルに触れていただいたのが
すごく嬉しかった&面白かったです。

岬は「乾いたみかんのスジみたいなにおい」なんですが
私の小説は読み返していると男子がみんなスメル薄いな……
って昔思ったことがあります。
水のにおいとか畳のにおいとかそんなんばっかなのですよね。

多分願望だと思います。
高校時代、住んでいた下宿で
よんどころなき事情があり男子棟に足を踏み入れた時
(※女子棟の洗濯機が一時的に使えなかっただけ)
誇張ではなく一歩入った瞬間
男子高校生のスメルがきつくて泣きそうになった、
という出来事があったので、はっきり言ってその反動だと思います。
あそこから一生「男子寮」という言葉に萌えられない身体になりました。
きっとBLを基本手に取らないのもそのせい(責任転嫁)



すっごく話逸れましたが、これだけ過去の作品を
電子化して下さった祥伝社のみなさま、ありがとうございました。

これから他社の過去作も電子化がちょっと続くと思います。
その裏事情&御礼は全部刊行された時にでも!
(あ、裏事情といってもこの後メディアミックスが待ってるとか
 そういうビッグニュース系とかじゃないんで期待しないで下さい。)
by refri5erat0r | 2014-08-08 14:57 | 告知