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現ライター、豊島ミホのブログです。雑記帖ゆえ雑文が書かれていきます。カテゴリの「はじめに」も是非お読み下さいませ。


by 豊島ミホ
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2016年に読む『びりっかすの神さま』・前篇(6/15)

こんにちは豊島ミホです。
長いことブログを書いてませんでしたが
あまりに面白すぎる本に出会ったのでっ……!
すぱぱぱっと紹介しちゃいたいと思います!


びりっかすの神さま (偕成社文庫)

岡田 淳 / 偕成社



『びりっかすの神さま』

1988年発表の超有名な児童書です。
私の世代がだいたいリアルタイムですよね……
でも小学3年で活字界から逃亡した私は読んでませんでした。
この間夫が「急に再読したくなった」と買ってきたので
私も何の気なしに読んだんですが、まあ……


はんぱねえエンタメ性とメッセージ性に戦慄!!!!


舞台はとある小学校の4年1組。
主人公の始(はじめ)は転入生です。
転入早々彼が教室で目にしたものは、
くたびれた背広を着たぼさぼさ頭の妖精!

やがて始は気づいていきます。
そのクラスの席順が、テストの順位を元に決まっているということ
(※成績悪い人が前、だったら指導のためなのでわかるけど
 悪い人ほど後ろという「ただの見せしめ」系)。
テストも給食を食べる速さも、
「人に勝つ」ということが奨励されていること。
「びりっかす」の人間は、当然のようにみんなから見下され
先生の前であろうといじめられていること。
そして「妖精」が、何か競争の結果が出るたびに
「びりっかす」の人のところにまとわりついているということ……。

だいたいこの辺までの話は夫に聞いて把握していたので、
読むまでは
「びりでも誰かは君のがんばりを見ているよ!」
的なお話かなあと思ったんですよ。
困った時に、「びりっかすの神さま」がちょっとだけ手を貸してくれるとか……。

でも全然そんなお話じゃないんです。
「びりっかすの神さま」はなんの力も持ってないし
びりの子の味方でもない。
きみはいったいなんなの、と始に問いただされた妖精は
自分をこのように語ります。


  競争して順位をつけると、とうぜん最下位のものができる。
  おれは気がつけば、いつも最下位をとった子のまわりに
  ただよっていたんだ。
  いや、そういうよりも、
  できのわるかった子の気分っていうか、感じっていうか、
  そういうものがよりあつまって、おれがうまれた
  っていうほうがいいかもしれん。

  (偕成社文庫版 p.38-39より)


へんな妖精=「びりっかすの神さま」は
教室の空気やびりの子の劣等感そのものであって
状況に介入する力も意思も持ってないんです!
うひょぉ。

そして彼の姿は、転校生である始にしか感じられません。
びりの子も、そうでない子も、
妖精がふわふわ教室の中をただよっていても
全然気づかない。
始は、よりダイレクトに妖精とコンタクトするために
みずから最下位を取ることにし、それに成功します。
最初はきれぎれの声しか聞こえず、姿があやふやだった妖精も、
びりを取るとはっきりと姿を現し、心で対話できるようになります。

なんだこれ社会学の話か?!

って思ったよねうん思ったー
システムに組み込まれちゃうとよくわかんないことを
外側から来た人は認識できるし、
意図的に状況を動かしてみることもできる、みたいな。
妖精との対話というのは、客観的分析のことかな? 
と思いました、最初は。

でも、さらに思わぬ方向に話は進みます。
キーになるのは妖精との対話。
「気分」とか「感じ」である妖精を
意識した上でびりを取った始は、
妖精と対話できるようになりますが、
これがなんと! 始以外の子にも起こるようになるのです。
そうすると、どうなるか……?

あっちょっとこの辺からネタバレ入ってくるな……。
全然筋を知りたくない方はこの辺で離脱してください。

んもーこの先の展開がすごい!
ここまででまだお話の3分の1くらいにしかなってない!
出てくる子はみんなわりと普通の子、普通のクラスなのに
まじかよっていうほどエキサイティングに話が転がっていきます。
痛快爽快! でも悪い意味でのフィクションっぽさは全然ない!
正直、誰が読んでも、何歳の人が読んでも
絶対面白い本になると思います!

あーこの名作を今まで読まないできた私って。。。

でも、子どもの時読んだ、って人も
もう1回読むといいと思いますよ。
大人になってわかることあるはずなんで。

下にネタバレ感想文も書きます。
ほんとにネタバレなので。できれば読んでから見てもらいたい。
by refri5erat0r | 2016-06-15 15:20 | 読んだものの感想