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現ライター、豊島ミホのブログです。雑記帖ゆえ雑文が書かれていきます。カテゴリの「はじめに」も是非お読み下さいませ。


by 豊島ミホ
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雁須磨子『こくごの時間』から教科書の旅・上(9/7)

こんばんは豊島ミホです。
前に書いた記事が7月付なのに。夏が終わってしまった。
なのでトップ絵を変えました。
でも秋向けっていうよりは……
先月私の脳みそを占拠していた「歯を大事に!!」
というメッセージに満ち満ちた絵になってしまいました。

私の歯に起こった出来事は、
義理の親族のみなさまにご覧いただくこともある
このブログではとうてい詳述できません。
恥ずかしくて!
もうこの絵からすべてを想像して下さい。

この8月の事件によって、私は
10年以上毎日500mlほど飲み続けていた清涼飲料水をやめました。
やめよう。
あくまののみものです。
500とか飲んでるのがだめっていう話もあるけど。



ツイッターのほうで紹介しましたが、
最近こんなまんがを読みました。


こくごの時間 (A.L.C.DXもっと!)

雁須磨子 / 秋田書店




年季の入った雁ファンの私……
「こくご」と雁須磨子のコラボに
読む前からテンションぶっちぎりになりました。
言語表現ならば雁須磨子!
本もたくさん読んでそー(いやたくさんじゃないかもしれないけど、
純粋なる自分の好みに従ってどんな種類の本でも読んでそー)な
雁須磨子!

「こくごの時間」は、
国語の教科書に載った小説や詩歌などを
題材にとった短編集です。
取り上げられた作品は、


「十五の心」石川啄木
「くまの子ウーフ」神沢利子
「走れメロス」太宰治
「夕焼け」吉野弘
「言葉の力」大岡信
「小僧の神様」志賀直哉
「山月記」中島敦



ちょっと、いっこいっこ確認はしてないんですけど、
小・中・高全部入り……なラインナップですよね? たぶん。

それぞれの作品に「読み手」となる人物が入ることにより
また新しいまんが作品になっています。
(他に書きおろしである「少年の日の思い出」があり、
 それは例外的にコミカライズ作品。)

私は1本目の「十五の心」がすごく好き!

不来方のお城の草に寝ころびて
空に吸はれし
十五の心

この短歌1本の、解釈を描いたまんがなんですけど……
なんてんだろう、その歌が主人公の生活の中で
新しい意味を持ち立ち上がってくる瞬間?
が見事に描かれていて、
「そうなんだ!」
「そーゆーことか!」

って思いました。
なんか私ただ……学校さぼってる開放感、程度のものしか
この歌から読み取れていなかった。
でもまんがを通して、「吸はれ」る心が
具体的になって、感嘆しました。
ちょっとその辺の解釈は実際に読んでいただきたい。



まあそんなで、他の短編もよかったのですが、
「山月記」だけわりと……
「え、こんな話だっけ?」
って思ったんですよ。
「読んでこんな風に思うような話だっけ?」って。
まんがの中では、山月記の主人公に対して
登場人物たちの評価が結構厳しいんですよね!
(雁さん自身もあとがきで、
 自分に似たようなところがあるからだと思うけど、
 あと、この作品だけ大人になってから読んだからかもしれないけど
 李徴を冷たく見てしまった、と書いていらっしゃる)

え……私が教科書で読んだ時は……
「わかるわかる! 超わかる!! 
 私も虎になっちゃうかもしんない!!!」

くらい思ったんだけどな……!

と思って、ものすご〜く久々に、読み返してみました。
山月記。

そしたらば……

本当に 自分の中の「李徴に寄り添う成分」が
減ってるのがわかった。


高校生の時はもぉ 友達と
「なんでこんなうちらの気持ちわかんの中島敦!」
って盛り上がったのに(ほんとそれおぼえてる)
33歳になった今読むと、
「この人絶対詩人になれないわ」
っていうひややかな確信が湧いてくる。

虎になってからも、都のイケてる文化人の机の上に
自分の詩集が置かれているところを想像してしまうとか。
詩で何を伝えたいってことより、
自分が名を成したいってことに李徴の欲望の比重があるのがわかって
(中島敦が彼をそのように描き出そうとしているのがわかるので)、
ほんと心がひんやりするよ。。。

でもいっぽうで、前とまったく違うふうに読めたのが
袁傪と李徴の関係。
話の中で終始李徴に同情的な袁傪に対して、前は
「いい人キャラ……」
「それかまあお話的にこの人はこうでないとダメなのかな」
くらいにしか思ってなかった。
でも大人になってから読み返すと、
袁傪がいい人なのは確かだけどそれだけではなくて、
袁傪は李徴のことを好きだったんだろうな、って
脳内補足されるんですよ!

李徴はプライドばかりの人間だし詩人向きでもない。
でもそれイコール「誰からも好かれない」ではない。
心広く人望の厚い袁傪は、李徴のひねくれた部分に注目せずに
皮肉屋で面白いこと言うとか、なんか変わった雰囲気があるとか
そういうところをナチュラルに好きだったんだと思うなあ〜〜!!
だから忙しいのに詩をメモってあげるんですよ……。

これはもう読解ではなく想像の域の話ですが。
でも、そやって人生経験を元に想像する部分が増えていくっていうのも
再読の面白いところだと思います。

えーっと、教科書作品再読シリーズはもうすこし続きます。

下の記事につづく)
by refri5erat0r | 2015-09-07 19:20 | 読んだものの感想