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現ライター、豊島ミホのブログです。雑記帖ゆえ雑文が書かれていきます。カテゴリの「はじめに」も是非お読み下さいませ。


by 豊島ミホ
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寄藤文平『絵と言葉の一研究』(4/22)

こんにちは。豊島ミホです。
久々に本の感想など。

こんな本を読みました。


絵と言葉の一研究 「わかりやすい」デザインを考える

寄藤文平 / 美術出版社



前に、元気をもらいたいときはデザイナーさんの本を読む、
デザイナーさんの本は面白いものが多い、と書いたことが
あるのですが、これもそうです。
寄藤文平(よりふじ・ぶんぺい)さん。
デザイナーさんってくくっちゃいましたが、
この本での肩書きは
「アートディレクター、イラストレーター」になってますね。
ともあれ、寄藤さんの絵やデザインは
見たらみなさん「あ、知ってる」と思うはず。


海馬―脳は疲れない (新潮文庫)

池谷 裕二 / 新潮社

死にカタログ

寄藤 文平 / 大和書房



「あ、知ってる」ですよね。

『絵と言葉の一研究』は、
タイトル通り、寄藤さんが
絵と言葉のデザインについて考えたことが
書かれている本です。
たくさんの著作があれど、
寄藤さんご本人の仕事の仕方をうかがえるような本は、
これ1冊かな?
(そんなに古い本まで調べてないので間違っていたらごめんなさい)

絵柄や、装丁のお仕事の軽やかな雰囲気から
多分この本もこう……
軽妙な感じ! アイディアノートみたいな感じ!
なんじゃないかと想像しながら開いたのですが、


逆にむっちゃ重くてびびりました!!!!


なにしろ書き出しが、ほんとにほんとに1文目が

もともとは、デザイナーをやめようかと考えて、
この本を作り始めた。
(p.4)

ですからね。
とか言ってちょっと他のことを面白い言い方してみただけです
みたいなこともなくて、普通にシリアスな文章が続きます。

1章目こそ、自分の仕事の始まりについて
かわいく愉快なイラストを添えて書いていますが、
第2章「お金とタッチ」では
自分のタッチが「ヨリフジさんのタッチ」として
消費されていきそうだったこと、
それを防ぐために何をしたかという
かなりシビアな話が語られています……。

なんとなくね。画風が軽やかだと思考も軽やかって
思っちゃいがちだけど、
そんな「ふんふ〜ん♪」ってやってるデザイナーなんて
いるわけなかった!

といってもやっぱり、デザイナーさんの本だから
内容が重くても読みづらい文ではないのですよ。
最小限の……語彙も平易な文章で
すげえことをつきつけてくるのです。
タッチの消費について考えた寄藤さんの結論はこうでした。

タッチがすぐに消費されてしまうのは、人の役に立っていないからだ。
僕はそう考えた。本当に必要なものは消費されたりしない。
タッチや絵の印象というものを取り除いたとき、絵とはなんなのか。
自分の絵はなんの役に立つのか。
(p.50)

ほんとはもう4行、寄藤さんが実際に起こしたアクションが
後に続くのですが、そこは読んでみてのお楽しみで☆

とにかくもう余計なことを削ぎ落とした文章……
そのバックにある膨大な思考。

いや多分私全部わかってはないですけどw
この人はすげー量の考え事を、真剣に持っていられる人なんだなぁって
ことはぼんやり感じ取れました。

ほかに、特に「わ〜お」と思った章は第6章です。
「『わかる』と『わかりやすさ』」と題されたこの章で、
寄藤さんは
文章に絵を添えて「わかりやすく」なるのか? ということを
問うてきます。

「絵で物事はわかりやすくならない」
 絵の仕事をすればするほど、それは確信になっていった。
でも、「絵を使ってわかりやすく伝えたい」という依頼は
途切れることがない。
僕はイライラして、そういう仕事を断るようになった。
(p.186)

「絵でわかりやすくしてくれる人」の代表格みたいな人に
こんなこと言われたら、衝撃ですよね!
わたしなんか「なんでも絵がついていればいいのに」
「絵がついているほうがとにかくとっつきやすいのに」

という典型的かつ短絡的な考えを
普段意識することもなく保持しているので
ガーーーーン となりました。

やっぱり、本気で取り組んでいる人は
「絵がつく=わかりやすい」みたいな前提から
疑ってかかるんだなって。
そんくらいじゃないと、あれくらい
「わかりやすい」デザインなんかできないんだなって。

ちなみにこの話はこれ(疑念)で終わらなくって、
もっとすごい、寄藤さんなりの「わかる、ことをわかる」
ところに着地するんですが
正直これもww 私は正確に読み取れた自信ないwww
途方もなくて!
まあ、でも、やっぱり考えてる量っていうのがわかって
すっげーなと思った次第です。

頭の悪い感想になっている。ごめんなさい。

この本、今は入手が難しいみたいで(多分、在庫僅少ってやつですね)
さっと図書館で借りちゃったのですが
できることなら買っておいておきたいです。
文庫化……してくれたら嬉しいな……!!(チラッチラッ) 
安く買いたいとかじゃなくて、
これ多分ずっと残しといたほうがいい本だと思うので。
長く置いてくれる出版社さんから文庫になって欲しいです。



ちなみに、この本には「本」の話も多くて、
途中、ブックレビューコーナーもあったりするんですが、
定期的に書評書いて欲しいくらいのすばらしいレビュー!!
紹介されているのは普段私が手を伸ばさない分野の本ばかりでしたが
すべてが面白そうに見えました! 

ほんと、デザイナーさんの本ってガチだなぁ(しみじみ……)。
デザインのお仕事されてない方にも、
広くオススメしたい1冊でした。
by refri5erat0r | 2015-04-22 20:09 | 読んだものの感想