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現ライター、豊島ミホのブログです。雑記帖ゆえ雑文が書かれていきます。カテゴリの「はじめに」も是非お読み下さいませ。


by 豊島ミホ
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再読はワンダー、再々読はうんめい(6/25)

こんばんは。豊島ミホです。
前回は心配な感じの記事ですいませんした。。。

全然関係ないのですが
最近、「再読」の読書が続きました。
5作連続くらい。
瀬戸内寂聴の『場所』に始まって、堀辰雄の「風立ちぬ」、
坂口安吾「青鬼の褌を洗う女」「二十七歳」「三十歳」……。
(「」でくくったやつは短編・中編で青空文庫で読んでます。
 すんません、私のお金は生きてる作家さんに優先的につかわれるのです)
(結局『かの子撩乱』を途中で放置してます。私ほんと長編読むの向いてないです)



再読って不思議ですよね。
憶えてるけど憶えてない……。
風景とか、すごく懐かしい感じがするけど話の先がどうなるかはわからない
(私が鳥頭だから?)。
そろそろこう感じるはず……って感情の道筋が頭の中にあるのに
それを辿らなかったりする。

「風立ちぬ」が、1読目(記憶が正しければ大学4年の冬)では
「はあ?」っていう感じだったんですよ!
もうぶん投げたいくらいいやだった記憶があるんですよ!
でももう1度読んだら……意外と……
「世界の車窓から」みたいで面白かったです。風景が。
風景がきれいと思いました。
そしてめっちゃその風景を憶えていて
「あれ? 私ここに来たことある!」みたいな感じなので
(だからそれは再読だからって話なんだけど)それが面白かった。です。

ので「昔読んだ本をもう1回読んでみるの旅」をしたくなっちゃったんですよ。




で、まず選んだのが「青鬼の褌を洗う女」。
これは予備校生の時に読んだきりで、
でもその時に「すごく面白い!!」「こんなテンションで生きたい!」みたく
思ったことはずっと憶えていたので。読んでみました。

確かに面白かったです。
(あとモテ本でした。平成のモテ本に書いてあることが全部書いてあります。
 この話の主人公の思考をトレースできたら、誰でもモテます! きっと!)
いやいやこんなテンションで生きるのは無理よ。それは。
と思ったけど。でもやっぱり坂口安吾は安定して好きだなと思いました。
文豪って言われてる人の中では一番、文章が好きだなと思いました。

> 匂いって何だろう?
> 私は近頃人の話をきいていても、言葉を鼻で嗅ぐようになった。

っていう書き出しが最高カッケーですし。綿矢りさみたいだし。(←何かが逆転してる)

ので再読の中でも今度は安吾に絞って読んでみようと思ったのですよ。

そして自分の中で一番究極的な作品だった「二十七歳」「三十歳」に
行っちゃったわけです!(そうここからがこの記事の本題です!)



「二十七歳」「三十歳」は坂口安吾の私小説で
それぞれ、「その歳」の時の恋愛(&周りの人間模様)を
後年になってから思い出して綴ったものです。
ふたつの短編ですが、実質ひとつみたいなもん。
恋愛の相手は、同じく作家で一歳下の矢田津世子(やだ・つせこ)。

この……恋愛が……
恋愛って言うのか……? みたいな……
思い込みガチガチの片思いが会わない間に積もって
しかもそれが奇跡的に両人に積もっていてなおかつ、
ふたりとも相手の思考を読みまくる系の人間なので
むちゃくちゃめんどくせえことになってる……
みたいな……

めんどくさい話なんです!
『DEATH NOTE』的なめんどくささです!

でもめっちゃ心に響いたんです!
読んだ時の私は二十六歳くらいでしたが
「三十歳」の終盤で一挙に安吾に そして津世子に
感情移入しました。
読んだ後しばらく

「津世子? 私のマブだし」

みたくなってました。

それを再読したら

「はい?」

みたいな。

ど……どこに感情移入したんだおれ……????(がくぜん)
「津世子!!!」って思った箇所はいったいどこなんだ、
って探す間もなく話が終わってしまいました。

衝撃!!



「再読が面白くない」ことは実は珍しいことではないんですよ……
(ですよね……?)。
こないだインタビューで挙げた太宰の『人間失格』だって、
面白かったのは2読目の話で、3読目はドン引きでしたからね。。。
(初読は多分高2で、「ふうん」と思ったけどそれは実質読めてない。
 「1回読んだ」にカウントしたくないレベル。)

ぴたりと決まる相性は、四次元の中にある。

とは山田詠美さんの小説の一節ですが
私は対・人間より対・小説でこれを意識することが(より)多いです……。
○歳で読んだからベストだった! ×歳で読んだら何も面白くなかった……
っていうのが小説だと思うんです。。。
歳取って感性よくなるとかわるくなるとかそういう単純な話じゃなくて
相性が変わるんだと思うんですよね。きっと。

でも「二十七歳」「三十歳」は、その事象の例外に置きたかった、
特別な作品だったんです。
小説としていいとかどうとかより、自分の個人の記憶に関わっていて
こー 半分自分の小説みたいな
(あつかましいすかね)(でも物語の半分くらいは読み手のものよね……)
精神的な日記みたいなものに思っていたので、
そうじゃなかったことにすんごくショックを受けました。

「そうじゃない!」と思ったのではなくて
「あれ……? そうだよね……? そうだったはずだよね?? あれ……?(泣)」
みたいな。
ラストのほうの、急な螺旋階段をのぼるとこで、
そうそうこれ、この階段。。。みたいなふうに
(ある程度視覚化して読んでいるんですね。
 っていうか今もう一度本文を読んでみたらどこにも螺旋だなんて書いてなかった、
 私が建物の構造から考えて勝手に螺旋にしちゃったんだと思います、2回とも)
景色は一度見たものとして見えているのに、
自分の感情の展開がまっっったく違う! っていう……。
これ、たぶん、小説だけでしょうね。
映画とかまんがは 他人がつくった視覚にのっかってるから
「あ、今みたらつまんなかった」程度で済む(気がする)けど
小説は五感を自分でつくりながら読んでて、その「つくる」作業と
感情の揺れが セットなはずなのにセットにならない! っていうことが
やっぱすさまじい…… 「再読の落差」を生むんだと思います。

凹みました。
『人間失格』がつまらなかった時は凹まなかったどころか ちょっと安心したのに
(「そうだ! 俺も人間失格だ! うおぉ〜」
 →「やっぱり補欠合格くらいはしてるカナ☆ てへぺろ」という変化)
「二十七歳」「三十歳」がつまらなかったことは……受け入れがたい。。。

本当、再読というのは恐ろしいものだよ……。

4月に、河合隼雄さん吉本ばななさんの対談本
『なるほどの対話』(新潮文庫)を読んだのですが、
その中で、お互いへの質問コーナー(この部分は口頭でなく文章)があって。
ばななさんから河合さんへの質問に、

いままでに三回以上読み返した本を一冊でいいので教えてください。

というものがあったんですよ。
「三回以上読み返した」のところ、思わず即マーキングしてしまいました。
二回じゃないんですよね。三回なんですよね。

初読でつまらなかった本は二度読まない。それは普通の話。
でも初読で面白かった本ですら、二度目で「えっ!」と思ったりする……。
三度目は、さすがに本当。。。みたいな。
ことなのかな? と私は思いました。
そういえば活字の本で三回読んだ本って、私……

あるんだろうか……。

と一瞬遠い目になってしまいました。
(でも多分『インストール』と『蹴りたい背中』、
 それに『赤頭巾ちゃん気をつけて』は3回読みました。
 ほかにも、仕事で感想書いた本は3回読んでいたりしますね。
 あとはまあ自分の……以下略)
ちなみに河合隼雄さんのご回答は、
井筒俊彦『意識と本質』(岩波書店)で、
どんな本なんだろうと書店の売り場でめくってみましたが、
さすがに……さすがな……感じの本で、私には理解できそうにもなかったです。はい。
ネットのレビューで「一般向け」とか書いてあるから大丈夫かなと思ったんですが
実物見たら「一般の 東大生向け」みたいな感じでした。



三回読んだ本……どうですかみなさん……。
ありますか……?

ちなみに三回なんてめったに読まないみたいに書いてるのは活字の本に限った話で
まんがは単行本を買ったら最低三回は読みます。
三回は読むために単行本を買うんじゃん。みたいな感じです。
小説の「三回」ラインが、まんがだと「六回」くらいになるかも。

私今のところ、まんがと活字トータルでの再読回数一位は
安野モヨコ先生の『ジェリーインザメリィゴーラウンド』だとおもいます。
十回くらい……?
十回読んでも忘れられるくらいのあの筋がいいんかなwww
というのは(半分)冗談で、やっぱここまで来るとおまもり本ですね。
いつ読んでも面白いし、その時その時での発見があります。
この間読んだ時が過去最高の胸アツでしたMAJIDE!
あとは残念ながら、新作がない作家さんの本は再読が偏るって要因もあることにはある……。
(いくえみ先生とか、どんだけ読んでもすごい勢いで新しい本が出るので、
 1作辺りの再読回数が突出してこない……読者としては幸いなことです……)

今日の「お前が言うな」大賞で話終わります。。。
(ジェリメリも貼っておきます。
 レビュー短い&少ないですがみんな的を射た感想だと思います)

ジェリーインザメリィゴーラウンド (1) (宝島社文庫―Comics)

安野 モヨコ / 宝島社



ジェリメリはメイン登場人物5人にそれぞれ自分が入ってて
好きなのかもしれない。
まあ、私の成分は9割カツヤですけど……どう見ても……
by refri5erat0r | 2013-06-25 19:37 | 読んだものの感想