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現ライター、豊島ミホのブログです。雑記帖ゆえ雑文が書かれていきます。カテゴリの「はじめに」も是非お読み下さいませ。


by 豊島ミホ
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夏目漱石『夢十夜』(1/17)

ここ5日くらいでこんな本を読んでました。

画力デッサン 人体と女の子

黒坂 圭太 / グラフィック社


Gustav Klimt: Drawings & Watercolors

Rainer Metzger / Thames & Hudson


夢十夜

夏目 漱石 / (青空文庫のため出版社表示なし)



『画力デッサン 人体と女の子』はだいぶ前に
担当さんに紹介してもらった本です!
「今こんなマンガ描いてるんです」ってパブーの連載を1ページ見せたら
「身体に比べて顔のデッサンが正確じゃないから、
 この本を読むといいかも。見てるだけでも面白いし」
という感じで(↑こういう直接的な言い方じゃなかったけど)
紹介してくれました……。

すぐ買ったんだけど半年以上放置……。
こういう「絵の勉強用の本」って買うと満足しちゃうところがあるよねっねっ
(だめだけど)。
でも一念発起して読んでみた! そして顔のデッサンを
直すべく練習もしてみた! ら〜
自分がいかに基本を押さえてなかったかわかったよ!
人の顔を横から見た時の、(相対的な)耳の位置とか……
「えーー!!」っていうくらい効いたwww
そしてそれを知ってからその辺にあるまんがを読んでみると、
みなさん正確www

超基本なんやね。。。
私はその超基本を1回も勉強してないってことなんやね。。。

でも実際読むだけでも面白かったです〜
だいぶラフだけど。
なんかもう黒坂さんのメモみたいな感じだけど。
上手い人の絵って見るだけでなんか変わる!!
ピコピコ脳が動いてる感じする!



そのピコピコ感が面白くて、
上手い人の人体素描もっと見たいぜー!!
と図書館に行って探し当てたのがクリムトの本。

地域図書館の美術コーナーはだいたいしょぼい。
西洋美術全集的なものがあれば御の字。
だからいっそ洋書コーナーのほうが面白い本あるに決まってるぜっ
と読んで洋書コーナー行ったらやっぱりあった。
素描やまもりの、クリムト研究的な本!

クリムト〜
名前と表紙でピンと来てないひともこのまとめ見れば思い出します。
地方の美術部の女子ならみんな大好きクリムト!
(都会の美術部の女子が何を好きなのかはわかりませんが……)

この本は判型小さくて、カラー絵も収録してるけど細部はよくわからず
「画集」ではないんですよ。
代わりに(さっきも描いたけど)素描がブチ盛り!
しかも年代順に並べてあるのでどんどんクリムトがエロ親父になっていくのが
わかるという仕組み!
後半の素描はまあ ここでは内容を詳述できないくらいにはエロい。
でも人体デッサン的にはめっちゃ勉強になりま!
私は「尻の肉を描く時のコツは、丸みでなくてくぼみをつくること」と学習しました。
や〜 エロかった(ペロリ)

ちなみにクリムトに15人の愛人がいちどきに群がっていた
という豆知識もこのたびネットで得ました。
想像して脳みそファ〜〜〜〜〜



で『夢十夜』ですよ。
なぜそこ飛んだし! って話だが
まあ何も関係ない。絵の勉強はいったん終えて漱石に行った。はずだった。
漱石の本を何か読むつもりで
でも私長篇より短篇派なので 必然的に(少ない選択肢の中から)
『夢十夜』を読んだわけですよ。

面白かった……!
すごいのな! 色がな!
漱石ってあの写真からセピアやモノクロのイメージあるけど
そのイメージよくない! と思ったよ〜
彼の文章が斬れ味鋭い(少ない言葉で多くの情報を、鮮やかに伝えることができる)
というのはわりとみんな知ってることなんだろうけど
浮かぶ映像がカラフルっていうのは あんまり言われてないような……

私これ以外だと『こころ』を読んだくらいなんで
(あと読みかけで忘れた長篇がいくつか)
もしかしたら もっと読んだ人にはよくわかってることかもしんないけど。
色がすごく鮮烈に描かれていて
カッケー と思いました。



しかし、しかしだよ!
第六夜あるじゃん?!
明治時代なのに何故か運慶が居て高いところで仁王を彫っている、
それを自分は見物人と一緒に眺めていて……って話。

それで運慶が今日まで生きている理由もほぼ解った。

という一文で終わるじゃないですか、
私この「理由」を、はっきりと言葉にしないまでも
「ははぁ……」と思って話を読み終えたんですよ。

でも全部読み終わってから、この話だけ解釈が気になって
ネットで調べてみたら、全然違う解釈がメジャーなものとして出てきた!!

その話読んだことないよって人はぜひ読んできて欲しいんだけど!
短いから! もう第六夜だけ読んじゃっていいから!




上に引用した文章を、直前の一文とともにもう一度引用すると

ついに明治の木にはとうてい仁王は埋っていないものだと悟った。それで運慶が今日まで生きている理由もほぼ解った。

なんですよ。
うまい彫刻家は、こう彫ろうと思って彫っているわけじゃない。
木の中に埋まっているものを掘り出しているだけなのだ。
……っていう話を、一緒に見物していた人から聞いて、「自分」も
家に帰って木を彫ってみた、その結果なんだけど。

この話の主題について

西洋文明にまみれた明治の日本に、運慶の時代のような美は存在しない。
つまり(漱石から見た)現代を嘆いている


みたくみんな言ってんだけど!

違くね……??

漱石が日本の中途半端な西洋かぶれを嘆いていた
というのは入試問題かなんかで読んだ気がするけど、
その話これと関係なくね?

明治の木にはとうてい仁王は埋っていない

ここを文字通り読んじゃうと……
「自分」=当然、運慶並み になっちゃうよね?
明治の木に仁王が埋まっていないから彫り出せない。
仁王が埋まっている鎌倉時代の木だったら、自分でも彫り出せる。みたいな。

そんなん漱石が言うわけなくね?!?!

つーかそもそも

こう彫ろうと思って彫っているわけじゃない。
木の中に埋まっているものを掘り出しているだけなのだ。

っていうこれ、最初に言ったのはミケランジェロなんすよ!
……って『画力デッサン 人体と女の子』に書いてあったんだよ!!
(ここではなしがつながる)
黒坂さんも彫り出してるらしいよ!

博識な漱石がそれを知らないわけがない
というのは決めつけにすぎるかもしれませんけども
とにかく人体が彫り出せない私にしてみたら、

自分はこの時始めて彫刻とはそんなものかと思い出した。はたしてそうなら誰にでもできる事だと思い出した。

作中の「自分」がこう思った時点で
「ナイワー」ってツッコミが入ってるわけですよ。
多分実際やってみるとできないんだな、って予想つくわけですよ。

それが「時代のせい」とか……

ないわ!!
まじで!!
時代がクソだから創作できないとかほざくのは私だけでじゅうぶんっす!

ついに明治の木にはとうてい仁王は埋っていないものだと悟った。

ここはつまり、同時代の(その辺にある)木をぱぱっと彫って
「は〜いアートです☆」っては言われん ってことっしょ!

結局「運慶が今日まで生きている理由」っていうのは……
奴は鎌倉から明治まで彫り続ける気概で彫ってたから!
っていう……

あっなんか弱い
まとまってないしうまく言えてない

でもなんかその「時代ワープ感」って昔の人の画集とか見てたら超わかる
ほんとにその人が残って、今自分の目の前にいる状態まで
ずーっと描いている気がするじゃん。死んでても。

そういう話じゃん。
むしろこの「第六夜」を読んだあとで画集とかを見ると胸熱だよ。
このイメージを与えてくれた漱石に感謝だよ。
漱石は明治の木を彫っても何も彫り出せんけど
今私たちの目の前で平成の木を彫ってるってことよ。

違うのぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜〜〜??!!
これ極北解釈なの〜〜〜〜?!
つーかもう誤読の域?!
でも美術関係の人が読めばだいたい私と同じ解釈になるはず……
と思いたい。



謎は解けないままだけど、まー私の中では
3冊完全に関係した読書で 面白かったので残しておきました。

※この「第六夜」、教科書に載っている(?)という話もネットで
 ちらりと目にしましたが、上の解釈について私は責任をおいません。
 先生が正しいと教えてくれたことを、テストでは選びましょうね☆

by refri5erat0r | 2013-01-17 21:59 | 読んだものの感想